小林:オンラインゲームは新しい市場と言われながらも、結局は昔のRPGを踏襲したものが多いんです。オンラインであるがゆえのメリットや他のツールとの融合などを考えながら、既存のオンラインゲームの枠組から脱け出すようなことができれば、市場がもっと拡大するのではないかと思っています。
大手メーカーがゲームユーザのためのゲームを作り続ける中、僕達はゲーム市場だとはっきり区分できないようなグレーゾーンにこそ、価値を見出しています。ゲームやウェブ、ソーシャルネットワークサービス(SNS)、日記、検索エンジンなど、いろいろなものが渾然一体となった、はっきり定義できないようなエンタテインメントによってゲーム市場を触発していきたいんです。
ベータ2からはウェブとの連携を強化しました。gumonjiのサイト上では日記が書けますし、ユーザーがプレイ中にキャプチャした画像が、自動的にオンラインアルバムに保存される機能もあります。ゲームの中のことが検索エンジンで調べられるというのが新しいかなと思いますね。今はゲームとは別にブラウザを起動する必要がありますが、最終的にはゲームの中で書いたものがウェブでも見られるようにしたいと考えています。
オンラインゲームのユーザーは、単に面白いゲームがあればそちらに移るかというと、そうでもない。なぜならゲーム内で既にでき上がっているコミュニティを捨てられないからです。
ユーザーを流動させる鍵になるのが口コミです。広告よりも、隣で友達が面白いと言いながらプレイしていたり、友達のBlogで紹介されていたりする方が動機付けとしては圧倒的に強い。これが、gumonjiがウェブとの連携に力を入れる理由です。ユーザーがウェブで写真を管理したり日記を書いたりすると、それ自体がgumonjiの求心力となります。するとさらに多くのユーザーが流れ込んできて、gumonjiが盛り上がる。こういうシナジー効果によってgumonjiを広めていきたいと思っています。
--ベータ2以降で、他に変わった点はありますか。
中嶋:アイテムとアイテムを掛け合わせると別の物を作れるという仕組みを取り入れました。サプライチェーンと僕らは呼んでいるんですが、たとえば羊から毛を取り、毛から糸を作り、糸から服を作ります。硅素の含まれる粘土を地面から掘り出してシリコンウエハを作り、それをICチップにして、精密機器を作ることもできます。
小林:他のゲームにも同じような仕組みはありますが、gumonjiの場合、物理法則と完全に結びついている点が特徴です。ユーザーには見えませんが、毛玉から糸を作ると毛玉の持つ物質の一部が糸として残り、残りの物質は拡散して自然界に戻ります。また、アイテムを地面に置いておくと腐りますが、腐った物質は地面に吸収されて再び循環の中に取り込まれていく。このようなシミュレーションができています。これほど複雑に世界と関係するアイテムを備えたゲームは他にないでしょう。
--では、アイテムが必要なプレイヤーは自分で材料を集めて作る必要があると。
中嶋:人と協力して作るという選択肢もあります。そこでコミュニケーションが生まれるといいなと思っています。
小林:どんな職人でも、自分ですべてのものをつくるのは難しい。1人ができることより、世界の中で実現可能なことのほうが何倍も多いんです。これが分業を生みます。トランシーバを作りたい人は良質のICチップを作れる人の周りに集まるでしょうしし、その人は珪素から良質のシリコンウエハを作れる人と協力するでしょうね。
中嶋:gumonjiの中には余った物を交換できるマーケットという場所があります。物々交換でもいいし、gumoというお金を使ってもいい。ベータ1とベータ2以降では全く違うものになったと言っていいと思います。
--正式サービスではさらに新しい仕組みが加わったそうですね。
小林:大勢で協力して巨大ウシを倒したり、チームで作った山の大きさを競ったりといったように、多人数で協力する様々なイベントが行われるようになりました。また、新たに気温の概念が導入され、温度の高低に対する生物の適応性によって、より多彩な自然が楽しめるようになっています。
--課金システムについて教えて下さい。
小林:ゲームの利用にはcoinを購入してもらう必要があります。1枚50円で、課金決済はISAOで行います。月額利用料は500円(coin10枚)で、土地の管理や売買時のオークションには別途coinが必要です。
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