ソニーの切り札となるか?--海外でも日本のテレビが見られる「エアボード」 - (page 2)

永井美智子(CNET Japan編集部)2004年03月05日 20時35分

PC業界の常識は家電には通じない

---MicrosoftやIntelもホームネットワークへの参入を打ち出していますね。

 家電の中でPC業界の人が成功するかといえば、違うと思います。少なくとも(ソフトウェアの)バージョンアップと言っているようではまだダメですね。家電では許されないことです。

 例えば、Microsoftはブラウザの機能強化を繰り返しています。しかし、家電というのはどこかで機能が止まらないといけないんです。NTTドコモのiモードを見ても、基本的なブラウザ機能の進化は止まっています。もしブラウザの中身がどんどん変わっていったら、コンテンツをそろえる人がいません。機種もそろえられないでしょう。

 Microsoftのブラウザは、PCでダウンロードするというのが前提になっています。そういうことをしている人たちが、家電で本当に通用するかは疑問です。製品の後追いはするかもしれませんが、エアボードのような製品は出てこないでしょう。

--米国ではDellなどのPCメーカーも家電の販売に乗り出しています。

 Dellが怖いようではだめだと思うんです。Dellの製品の製造は台湾メーカーが請け負っています。だからこそ、台湾メーカーができないようなプラスアルファを入れていかないといけない。そこをやっていれば全然怖くない話です。Dellが家電に参入して世の中が変わる、という人もいますが、それはあまり思っていません。

 家電のコモディティ化が進んで値段が安くなっているのは中国からどんどん安いものが入ってきているからです。日本の家電メーカーは、中国にはできない新しいカテゴリを作っていかないといけない。エアボードのような製品は中国や台湾では作れません。HDDレコーダーは米国で生まれた製品カテゴリですが、本当は日本からそういうものを出していかないといけません。

 エアボードの1号機を初めて米国で展示したとき、米Microsoft会長のビル・ゲイツが見てびっくりしていました。それで、「Mira」(Windows CE for Smart Displays)のようなものを発表してきたんです。もっとMicrosoftのような企業を驚かせるような製品を出していかないといけない。

--MicrosoftのタブレットPCはどうですか。

 使っている人をたまに見ますが、あれはPCでしかないですね。

 ホームサーバ、という言葉もはやりました。しかし、一般の人が家庭で本当に使うかは疑問です。ネットワークが高速になっている中で、家の中に何でもコンテンツをためようとする人がどれだけいるでしょうか。ネットワーク上で個人が自由に使えるエリアがあって、そこでファイルを共有するという形ならありうると思います。でも、自分の家の中に置いたものを、他人にアクセスしてもらいたくはないでしょう。タブレットPCやMediaCenterはどちらかというとその方向ですよね。家の中のPCが中心です。それは家電とはちょっと違うんじゃないでしょうか。

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