Adobeの新プラットフォーム「AIR」(Adobe Integrated Runtime:開発コード名Apollo)、Microsoftの「WPF」、そしてGoogle Gears。ブラウザとデスクトップ、そしてオンラインとオフラインの垣根は取り払われつつある。そのような中で、MozillaもFirefoxの次期バージョンである「Firefox3」(開発コード名Gran Paradiso)でオフライン機能をサポートする予定だ。
このようなウェブを巡る一連の動きについて、オープンソースのブラウザを提供するMozillaはどのように取り組んでいくのだろうか。1997年からネットスケープでブラウザの開発に携わり、現在はMozilla Corporationのエコシステム開発ディレクターを務めるMike Shaver氏に聞いた。
ウェブアプリケーション、Firefoxのアプリケーションを作ってる方をサポートしていく立場です。具体的には、文書化、ツールの作成に関するサポート、それから開発者がどういったニーズを持っているかということを理解していくのが仕事です。チームと一緒にFirefox3の開発に携わっていますが、それ以外にもFirefoxのエクステンションも担当しております。
Firefox3は2007年末、もしくは2008年初頭のリリースを予定していますが、目玉となる新しい機能はオフラインのサポートです。ユーザーがネットワークに繋がってないときでもウェブの作業ができるようにFirefox3でサポートしていこうと考えています。
これにより、ウェブに繋がってないときでもアプリケーションを使うことができ、また一旦ウェブに繋がったらその作業を開始することができるようになります。
例えばブラウザ上から自分のスケジュールやカレンダー、個人の作業のリストなどをいつも利用できるようにしておきたい方にとっては非常に有益な機能になるかと思います。具体的なアプリケーションではGmailやGoogleカレンダーなどがそれにあたります。
Google Gearsはウェブアプリケーションをオフラインでも使えるという点では同じですが、Google GearsとFirefox3の動きは違います。ただ、他のブラウザの企業とも協力しながら標準化し、どのブラウザでもオフライン機能を使えるようにしていこうと考えております。
ウェブアプリケーションによってオフラインへの対応度に違いはあるかと思いますが、Firefox3ではどのアプリケーションでも対応できるようにしていく予定です。
GoogleとMozillaはこれまで長く良好な関係を保ってきました。Google Gearsに関してもそうですが、どのブラウザ、どのアプリケーションでも使えるように共通のスタンダードを作ろうということでは話をしています。
それぞれ持っている製品に特に何かを実装する上で協力していく計画は現在のところないのですが、ただ一番難しいところは共通化を図ることです。どのウェブアプリケーションの開発者も使えるような標準化が非常に大きなネックになってくると思いますので、その点においては協力していきます。
どのブラウザでも、どのウェブアプリケーションでも使えるような機能を提供していくことが重要だと考えています。
MozillaがFirefoxで目指すところは、ウェブの環境を強化し、改善していくことです。ですから、他のソフトウェアの開発ベンダーとは違って、Mozillaはどのウェブブラウザでも使えるようなものをオープンフォーラムとして提供することで、他のベンダーの参画を促し、すべての人が使えるような環境を構築することを非常に重要視しています。
Microsoftがオフラインの機能を提供するかどうかはわからないですが、ただGoogle Gearsはプラグイン機能として提供されるので、他のベンダーが提供しない場合はプラグインという形で対応することになります。
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