「iTunesがDVDの代わりならJoostはTVの代わりに」--Joostの新CEOインタビュー

文:Marguerite Reardon(CNET News.com) 翻訳校正:編集部2007年06月20日 08時00分

 Mike Volpi氏は数カ月前にCisco Systemsを離れたとき、インターネットの世界での冒険を求めていた。そしてついに、これを見つけた。

 米国時間6月5日、インターネットを利用した動画配信の新興企業Joostは、13年間Ciscoに勤めたベテランであり、スタープレーヤーであるVolpi氏が、最高経営責任者(CEO)の任に着くと発表した。

 Ciscoを2月に離れたVolpi氏は、Cisco在職中に、いくつかの重要な役割を果たした。Ciscoでの最後の役職では、サービスプロバイダ部門を率い、次世代インターネットプロトコル機器の開発と販売の責任を負っていた。彼はまた、69億ドルで買収したScientific-Atlantaの製品を、Ciscoの製品ラインに加えるのを支援した。

 それ以前には、Volpi氏はCiscoの買収戦略を担当している。1994年から2001年まで、彼は75の買収を監督した。

 彼はCiscoの現在のCEOであるJohn Chambers氏の唯一の後継者であると考えられていた時期もあった。しかし現在、40歳のVolpi氏は自分の商売を広げつつある。

 Volpi氏がJoostの職を選んだのは、彼とJoostの創設者であるJanus Friis氏とZiklas Zennstorm氏との強い結びつきを考えれば驚くには当たらない。Friis氏とZennstorm氏はSkypeの創立者でもあり、Volpi氏はそこで取締役を務めた。

 Joostでの2日目、Volpi氏はCNET News.comのインタビューに答え、なぜ彼がこのJoostでの仕事に就いたか、同社の将来の見通しはどうか、人々のテレビの見方をどう変えようとしているかについて話した。

――2月にCiscoを離れてから、何をしていたのですか。リラックスのための休暇はあまり取らなかったようですが。

 わたしがCiscoを離れた時の意図は、休暇を取ってリラックスをすることではなく、次にやりたいことを探すための時間を取ろうということでした。そして、Joostに出会ったというわけです。わたしは2007年の終わりまでには何かを見つけたいと考えていました。しかし、わたしがSkypeの取締役会にいたことから、たまたまJoostの創設者たちを知っていました。わたしがCiscoを離れて1週間後には、彼らからJoostに関わらないかと尋ねる電話がかかってきました。

 この会社の背後にあるアイデアとビジョン、そして市場のタイミングを見たとき、わたしはワクワクした気持ちでいっぱいになりました。その後わたしは、世界中の色々なチームを全て訪れました。そして、彼らが素晴らしいチームとアイデアを持っていると思いました。

 わたしは他の色々な企業も見て回っていました。何かインターネットがコンテンツを運ぶ原動力にになるようなことをやりたいと考えたのです。

 もちろん、家族とも少しは旅行しましたが、そうこうしているうちにわたしは仕事を見つけてしまいました。人生というのはうまく運ぶ時もあるものです。何カ月か延ばすこともできましたが、もういいだろうと思いました。

――Joostの何が特に魅力でしたか。単にあなたがSkypeに関わっていて、創立者のJanus Friis氏とNiklas Zennstorm氏を知っていたからですか。

 個人的な関係と、お互いに尊敬していたことが大きな役割を果たしたことは、疑いありません。しかし、わたしがプロフェッショナルレベルの動画を提供するという問題について調査してみると――既にインターネットに溢れている単なる映像クリップやユーザー生成ものではなく、プロフェッショナルレベルの映像です――3つの要素を満たさなくてはならないことがわかりました。

 第1に、ユーザーに素晴らしいエクスペリエンスを提供できなくてはなりません。これは、遅延が少なく、遅延の揺らぎも少ない、よい映像を必要とします。第2に、誰もコンテンツを投げ出さなくても済むように、コンテンツ所有者がコンテンツを管理できる手法が必要です。デジタル著作権の観点からコンテンツを管理できる必要があるのと同時に、例えば異なる場所で番組を見ているユーザーを対象にできなくてはなりません。第3に、広告主が新しい種類の広告を作り出すのに使える、広告プラットフォームが必要です。

 そして、この会社はこの3つ全てを十分に示していました。創設者が有名なため、Joostについて書かれたものは多くありますが、われわれは、MTVと広告業界からの人材も多く抱えています。われわれはまた、オープンソースコミュニティの非常に優秀な技術者も多く抱えています。これは時々見失われがちですが、非常に重要です。

――現在、インターネット動画の世界では、GoogleのYouTubeが幅をきかせています。すでにYouTubeがある今、Joostは必要とされますでしょうか。

 JoostはYouTubeとはかなり違います。YouTubeが対象とするマーケットセグメントは、動画クリップを見る人たちです。これは家族やペットかもしれませんし、新しく起こった出来事かも知れません。そういう種類のユーザー生成コンテンツであれば、見ている人たちは、あまり品質のよくない短い動画クリップを、小さなスクリーンのフォーマットで喜んで見るでしょう。

 しかし、Joostが狙っているのは違います。Joostの動画を見るために、ブラウザを開いたり、ウェブページに行ったりはしません。PCのスクリーン全体を使うソフトウェアアプリケーションを使い、15分、20分、30分といった高品質の番組を見るのです。これは権利処理された番組であり、ユーザー生成コンテンツではありません。

――それらがみなプロが制作したコンテンツだとすると、不法コピーやデジタル著作権管理の問題はどう扱うのですか。

 まず、Joostのコンテンツは許可を得たコンテンツ所有者からのものだけです。そして、コンテンツがシステムに挿入されると暗号化されます。許可を受けたユーザーはこれをコンピュータ上で見ることが出来ますが、コピーしたり録画したりすることは出来ません。ですから、これはPtoPサービスであるにもかかわらず、動画を落としたりリッピングしたりすることはできません。2度目に同じものを見たいときには、もう一度ストリーミングする必要があります。

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