米国で生まれた3Dの仮想世界「Second Life」が今、日本でも注目を集めている。世界中で200万人以上の人々がここで「第2の人生」を過ごし、ついには100万ドル(邦貨換算で約1億2000万円)を稼いだ人も登場した。現在は英語版が提供されているが、近々日本語版もリリースされる予定だ。
ゲームのようにクリアする目的が設定されているわけではなく、ユーザー同士が3D世界の中で交流して楽しむ様子は、ニンテンドーDSで大ヒットした任天堂のソフト「おいでよどうぶつの森」に似ている。しかしSecond Lifeでは、あらゆるものをユーザー自身の手で作ることができ、そこで作ったものはすべてユーザーが権利を持つ。また、Second Life内では独自通貨のリンデンドルが流通しており、現実の米ドルと交換可能となっている。
さまざまな特徴を持つこの世界は、一体どのような理念の下で運営されているのか、そしてどのような可能性を秘めているのだろうか。Second Lifeを運営するLinden LabのVice President, International & General CounselであるGinsu Yoon氏に話を聞いた。
Linden Labは自社の製品と技術に重きを置く会社です。製品を改良し、機能を豊かにすることで、ユーザーが作りたいものを作れるようにする。そのためにすべての時間を費やしています。私たちは、ユーザーが考える世界をすべて自分の手で作り上げられるような環境を提供すれば、製品自身がプロモーションになると信じているんです。ユーザーは、自分の作ったものを人に見せたいと思うでしょう(から、自然に口コミで広まっていきます)。
ですので、特に米国や欧州でマーケティングはしていません。日本やほかの地域では何かしらのプロモーションをする可能性はあります。ただ、会社のDNAとして、良い製品、良い機能を第一に考える気質があります。
私たちは製品を販売している会社ではなく、価値のあるサービスを提供する会社です。現在、Second Lifeのサービスの価値を最も分かりやすく伝える手段がバーチャルランド(土地)です。とてもシンプルで、誰もが理解できて価値を感じられる。
土地を持つためにはプレミアムアカウントを取得する必要があり、プレミアムアカウントの料金は月額9.95ドルとなっています。
さらなる価値を提供できるような新しい機能についても取り組んでいます。新しいアイデアも私たちの頭の中にはあります。それらは新しい収益になりますね。
大体、25%くらいの人が何かしらのオブジェクトを作っていると思います。その中でもプロフェッショナルと呼べるような素晴らしいものを作っている人はごく一部ですが、どの程度かというのを測るのは難しいですね。ユーザー数はどんどん増えているので、この割合はどんどん下がっていくと思います。最終的には1%程度にまで下がるのではないでしょうか。
インターネットでもそうですよね。自分でHTMLを書いてサイトを作ったことのある人はそんなに多くない。サイトを作るためにソフトウェアのコードを書いたことのある人はほとんどいないでしょう。だからといって、ほとんどの人がインターネットの使い方を知らないということではありません。クリエイティブプラットフォームがあって、一定数の人がその上で何かを作って、多くの人がそれを使う。Second Lifeも同じです。
いろいろなイベントがユーザーの手で開かれています。教育セミナーもあります。ユーザーはSecond Lifeをとても楽しんでいて、どうやって使えばいいかを教え合いたいと思っている。ですから、何かを作りたいとか、(Second Life内でものを動かす)スクリプトを書きたいと思ったら、ほかのユーザーが開いている授業を受けに行けばいいんです。
もちろん、私たちもできることはします。資料を用意したり、Second Lifeをするために必要なPCのスペックを公開したり。でも、Second Lifeではいろんなことをみんなが助け合っているんですよね。
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