Web 2.0系のサービスは、これからだんだん普及期に入っていくでしょう。昔はYahoo! JAPANを見るだけでも「すごい」と思っていたけれども、今は普通にみんな使っている。同じことが起きると思いますよ。ただ一方で、その次の段階というか、これから来るサービスや新しく生まれる業界は何かということに目を向ける時期に来ていると思います。
そうですね。いくつか兆しがあると思っているんですよ。例えば、携帯電話でのインターネット利用がPCを上回るという総務省の調査結果が出ていましたよね。
これが本当なら、これから日本人にとって「インターネットをする」というのは、携帯電話からのインターネット利用を指すようになるんじゃないか。にわかには信じがたいですが、あり得る話だと思います。
それから、NTTドコモが公表した、ドコモユーザーのインターネットアクセス量のグラフを見ると、2003年から公式サイトへのトラフィック量はあまり変わっていないのに、一般サイトへのトラフィックはどんどん伸びている。そして全体のトラフィック量は、3年間で3倍ぐらいになっているんです。こういったことは、なかなか起きることじゃないですよね。
さらに、キャリアが相次いで検索サービスを導入しているのも大きいと思います。だって、Yahoo! JAPANに検索がなかったり、Googleが存在しなかったりしたら、PCインターネットの世界も随分違っていると思うんですよ。検索は、それまでとはまったく違う世界を生み出すようなサービスなので、それがキャリアのサービスに標準で搭載されてくるというのは1つの大きな変化だと思います。
やっぱり変化が起きる時期には、業界の頭打ち感みたいなものが生まれるんですよね。そういう意味でも、変革の時期を迎えているんじゃないかと思います。
すこし話がずれるかもしれませんが、ニンテンドーDSがこれだけ流行っているのを見ると、すごい革命的だなと思います。エンターブレインの調査で、携帯型ゲーム機の販売金額(ソフトとハードの合計)が、据え置き型を抜いたという報道が出てましたが、そんなことが世の中に存在するんだという驚きがありました。
ニンテンドーDSが出たときには、「いまさら携帯型なんて何言ってるんだよ。これからはハイディフィニッション(高品位映像)だよ」というような風潮があったと思うんですよね。
Googleだって、登場したころには「今さら検索サービスをやって勝ち目があるの?」と言われていた。
僕自身、ブログやアフィリエイト、SNSなどを作ってきましたけど(編集部注:田中氏は楽天勤務時代に「楽天日記」や「楽天アフィリエイト」のサービスを企画、開発した)、始めるときにはことごとくいつも「こんなものは流行らない」といわれてきたわけです。
だから、とりあえず世の中に否定されているものというのは、往々にして価値を生む場合がある。逆に言えば、みんなが注目されていない領域ほどチャンスが大きいと思うんですよね。
いま、モバイルビジネスも否定的に見られることも多いし、プレーヤーも苦しい状況にあると思うんですが、なにか変革の波が訪れているという全体的な感覚があるんですよ。
結局それが当たっているか当たってないかというのは、勝負しないとわからない。ブログやSNSも同じで、それが本当に流行るかどうかなんてその当時はわからないけど、その兆しを見つけてやるかやらないかだと思うんですよね。いろいろ理由をつけてやらない会社も多いと思うんですが、「失敗するかどうなるかわからないけれど、まずはやってみよう」と思う会社でなければいけないと思うんです。
人が理解しづらいことがチャンスなんですよね。誰も注目していないということは、自分たちが頑張れば市場でトップになれる可能性が高いということですから。
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