オープンソースのデスクトップソフトとしてFirefoxと並んで日本でも普及しつつあるメールクライアントのThunderbird。先ごろ来日したThunderbirdの主要開発者であるScott MacGregor氏は、「オープンソースソフトのメリットは、脆弱性などのセキュリティバグに対する反応が速いことにある」と語っている。
1997年にNetscape Communicationsに入社してからメールクライアントの開発に携わるようになり、Netscape 4.0 Messenger Mail Clientを開発していました。そしてNetscapeに在籍しているときに、Mozillaプロジェクトの立ち上げに参加して、そこでもメールクライアントの開発に参加するようになり、Thunderbirdプロジェクトの立ち上げにも参加することになったのです。
それは、人々がより良いコミュニケーションを取れるように手伝いをすることが意義深いことであり、開発の動機となっています。
そうです。フィッシングなどの危険やジャンクメール、迷惑メール(スパム)からユーザーを守ることが、Thunderbirdで注力すべきポイントとなっています。これは、NetscapeでMozilla Mail Clientを開発していたときから続いている取り組みです。Thunderbirdプロジェクトでは、そういった機能を高めるようにしています。
その機能は、個人的に気に入っている機能ですね。Thunderbirdには1.0からスパムフィルタが搭載されていますが、これには2つのメリットがあると思っています。ひとつは、スパムフィルタが無料で使えるということ、もうひとつはスパムフィルタをユーザーが自分にあった形で自由に調整できるということです。
2006年の秋に、Thunderbird 2.0をリリースする予定ですが、2.0ではスパムフィルタを改善する予定です。
2006年の夏に、「Summer of Code」と呼ばれるイベントが開催され、わたしたちも参加することになっています。これはGoogleがスポンサーとなって、学生がオープンソースのプロジェクトに貢献するのを支援しようとするものです。
Thunderbirdに使われるスパムフィルタは「ベイジアンフィルタ」と呼ばれる技術を利用していますが、数学科の博士課程に籍を置く大学院生が、このベイジアンフィルタを研究しており、わたしたちは彼の協力を得ることができました。Thunderbirdに使われるベイジアンフィルタがスパムをより効率良く検出できるかどうかのテストを、彼がそのイベントでする予定になっています。そのテストを経て、スパムフィルタを改善するための選択肢を調べることになっています。
フィッシング対策機能が改善されることになっています。現在の1.5から搭載されているものですが、1.5でのフィッシング対策機能の仕組みは、メールに表示されるURLと実際にアクセスするURLが違うことを指摘するという単純なものです。
2.0では、フィッシングに利用されるサイトのURLリストを利用するという仕組みを搭載します。ユーザーは、このURLリストをダウンロードして、メールに表示されるURLと比較することでフィッシングから身を守ることができます。この機能は、URLリストの提供元を変更するなどのカスタマイズが可能であり、また機能そのものを有効か無効かを選択することもできます。
メールの整理・管理に力を入れています。ひとつは「フォルダビュー」と呼ばれるものです。多くのユーザーがメールを整理するために多くのフォルダを作っていると思いますが、このフォルダビューでは、未読メールが残っているフォルダだけを見せることができます。
また、ユーザーが「お気に入り」のマークをフォルダに簡単につけることで、お気に入りのフォルダを表示できるようにもなります。あと、最近使ったフォルダを自動的にリストで表示できるようにもなります。
さらに2.0ではメッセージタグをサポートする予定です。これは、ウェブ上で写真や記事にタグを付けるのに似ていますが、あるメッセージに好きなだけタグを付けることができるようになるというものです。メールの内容が「日本への出張予定スケジュール」の場合では「出張」という具合にタグを付けられ、そのタグを検索することもできるようになります。
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