2011年のサービス開始からわずか5年で、世界で2億2000万人(2016年6月時点)のアクティブユーザーを抱えるまでに急成長したメッセージアプリ「LINE」。送受信される膨大な量のメッセージやスタンプ、さらには音楽やビデオなどのリッチコンテンツを配信するインフラを支えるエンジニアチームを、同社の黎明期から統括しているのが上級執行役員 CTOの朴イビン氏だ。
普段はサービスや戦略が注目されがちなLINEだが、これらをスピーディに開発し、グローバルで安定的に運用する体制をどのように実現しているのか。また、イビン氏が注目する次なる技術とは――。
5年前にLINEアプリを開発し、その後は急増するユーザーへの対応や、LINEのマイクロサービスを効率的に開発するためのプロジェクトの管理などをしてきました。現在は、LINEのプラットフォームを強化するために、さまざまな技術をハンドリングしています。また、社内の文化をどう作るかということにも注力してきました。
グローバル展開も担当しており、中国や韓国、台湾に加えて、インドネシアとタイでも開発拠点を立ち上げる予定なので、ローカライズに向けて必要な人材をグローバルで採用しているところです。私自身は、1カ月のうち日本に2週間、韓国に1週間ほど滞在し、残りの1週間はタイや台湾などに出張しています。
一方、池邉は日本のLINEファミリーサービスの開発や、日本で必要な要素を洗い出してプロジェクトを立ち上げるなどしています。ただし、基本的に開発はプロジェクト単位で動いているため双方に壁はありません。プラットフォームでもファミリーサービスでも一緒にやりとりし、相談しながらプロジェクトを進めています。
業務はプロジェクト単位で動いており、関連組織の担当者と開発者が1つのチームになって目標を達成するために走ります。開発に必要なリソースが足りない時は、海外の開発者がプロジェクトチームに加わることもあります。たとえば、インドネシアと台湾で提供されている「LINE TODAY」(ニュースサービス)のプロジェクトは、韓国人、中国人、台湾人のメンバーが実装しました。
LINEでは、開発者がどのような姿勢でシステムを設計するかということを大切にしています。定期的にコードレビューをする体制にしたり、全体的なアーキテクチャを理解して開発できる環境を用意しています。また、開発者の技術力を伸ばすため、さまざまなプロジェクトに参加させ、その技術をそのままシステムに生かせる流れを作っています。そして、システム自体を運営する技術ですね。問題の発生をいち早く探知してモニタリングできるシステムや、問題があれば迅速に分析するシステムを構築しています。
開発者がどのような目標を立てて、アーキテクチャを設計するかということも重要です。我々にはLINEという大規模なソーシャルグラフがありますので、サービスをリリースするとユーザーが急増するケースが少なくありません。そのため、最初からスケールアップができる柔軟なアーキテクチャを設計することを基本として考えることが大事だと思っています。必要な機能を開発したりというのは、その次の段階なのではないでしょうか。
もちろん、携帯キャリアの運用方法も参考にしています。日本はLTE通信が普及していますが、まだまだ2Gや3G通信の国もありますよね。そこでLINEでは、現地の状況を直接確認して解決する部隊「遠征隊」を組織して各地に派遣したり、自動的にデータを収集できる仕組みを導入して分析するなど、問題を早めに発見し通信を最適化する工夫をしています。国別の細かい設定が必要なので、他社のクラウドサービスなどは利用せず、独自のグローバルなインフラを構築しました。
多くのLINEユーザーのが望んでいることがセキュリティであり、弊社でもセキュリティを最も重視しています。たとえば、Letter Sealingは、ユーザー同士の会話を送受信者だけが見られる技術で、第3者がその内容にアクセスしたり復号化したりすることはできません。そこまでニーズがあるのかというユーザーもいると思うのですが、我々がそれをはっきりと提供し、デフォルトでオンにすることに意味があると思っています。
私はLINEのセキュリティレベルは世界でも最高水準だと思っています。もちろん、他のメッセージアプリも最高レベルのセキュリティを採用していますが、我々はできる対策はすべてやっています。たとえば、「Facebook Messenger」では Letter Sealing技術は搭載されていません。今後も、さまざまな技術を前もって実装していきたいと思っています。
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