専門家がより身近になる社会へ--弁護士ドットコム元榮社長に聞く

 弁護士ドットコムは3月10日、同社が運営する税理士紹介ポータルサイト「税理士ドットコム」をリニューアルしたことを発表。あわせて、税金に関する情報を解説するニュースメディア「税理士ドットコムトピックス」を立ち上げた。

  • リニューアルした「税理士ドットコム」

 税理士ドットコムは、法人や個人の税理士との顧問契約や税務申告といった要望に対して、無料で税理士を紹介するポータルサイト。2008年6月にサービスを開始し、現在全国で1845人の税理士が登録している。

 今回のリニューアルでは、税金問題に関する時事性のある話題を税理士が分かりやすく解説する税理士ドットコムトピックスを新たに提供。また、確定申告や会社設立、節税など、税について役立つ知識やノウハウ、方法などを紹介する情報コンテンツを配信する。さらに、地域や得意業種などを絞り込める税理士検索機能の利便性を向上し、税理士のプロフィール情報を拡充していくという。

 税理士ドットコムのリニューアルの狙いや、同社の今後のビジョンを弁護士ドットコム代表取締役社長 兼 CEOの元榮太一郎氏に聞いた。

専門家がより身近になる社会を目指して

 弁護士ドットコムは、無料で弁護士相談や検索ができる法律相談ポータルサイト「弁護士ドットコム」を運営する企業。現在6400人の弁護士を抱えており、国内弁護士の約5人に1人が登録しているという。弁護士に無料相談できる法律特化型の掲示板「みんなの法律相談」や、地域や得意分野に絞り込んで弁護士を検索できる「弁護士プロフィール検索」などの機能を提供。すでに月間訪問者数は440万人を越え、累計相談件数も32万件を超えるという。

  • 弁護士ドットコム代表取締役社長 兼 CEOの元榮太一郎氏

 「今までの弁護士のイメージは『一見さんお断りの商売』で、ユーザーにわかりやすく示してこなかった。これを変えていかないといけないと考え、起業した」――元榮氏は、会社を立ち上げた思いをこのように語る。ただし、弁護士法72条によって弁護士を有料で紹介することはできない。そこで、相談や検索は無料にし、弁護士情報や相談内容をデータベース化。弁護士のプロフィールページの拡充や検索結果の優先表示など、データベースの活用によってマネタイズを図っていった。

 「無料相談によって弁護士同士にもいい競争意識が生まれている。利用者の質問に真摯に答えることで評価が上がり、そこから顧客獲得につながるようになっている。これまで、専門家の知恵を求めている人たちに届けられていなかった。これを解消し、一般の方々にとって、弁護士や税理士をもっと身近なものにしていきたい」(元榮氏)。

 弁護士ドットコムトピックスでは、普段から一般ユーザーに法的センスや知識を知ってもらいたいという思いから、ニュースメディアを通じて専門家の知恵を発信している。「今後、ニュースメディアの機能は拡充していく。法律を作るための政治や、執行するための行政などの分野にも展開していきたい。税理士ドットコムトピックスをスタートしたのも、まさにそれが狙い」(元榮氏)。

 今後は弁護士ドットコムや弁護士ドットコムトピックスで培ったノウハウを、税理士ドットコムや税理士ドットコムトピックスにも生かしていきたいと元榮氏は語る。たとえば、税理士ドットコムでは弁護士ドットコムのように、税務に特化した無料掲示板サービス「みんなの税務相談」を提供する予定だ。

弁護士が効率的に作業できる環境を作る

 弁護士ドットコムは2005年のサービス開始当初、オーセンスグループとして事業を展開していたが、2013年10月に現在の社名に変更した。「これまで以上に多くの人たちにサービスを使ってもらい、法律問題に関するサービスのスタンダードを作りたい。そこで、認知度の高い名称を社名にすることで一体感と信頼性を高めようと考えた。近い将来、上場も視野に入れていることから、(社名変更は)事業展開において重要」(元榮氏)。

  • 「弁護士ドットコム」のトップページ

 弁護士ドットコムで得たノウハウを税理士ドットコムなどに展開しているように、今後は士業の分野における水平展開を進めていくという。そのためにも、引き続き弁護士ドットコムを主軸に事業を展開していきたいと元榮氏は語る。

 具体的には、弁護士の案件管理システムとデータベース事業を展開していく予定。ERPのような管理システムがない弁護士業界において、進捗管理などの案件管理システムを導入することでより円滑に作業できる環境を構築していきたいという。データベース事業は、すでに弁護士ドットコムに登録している弁護士の案件情報を、個人情報を秘匿した状態ですべての弁護士がアクセスできるデータベースにする。これにより、実務情報や弁護士同士のコミュニケーションを促進していきたい考えだ。

 「弁護士同士が情報交換できるプラットフォームを作ることで、案件に対して的確な業務処理ができるようになる。専門家をより身近にするだけではなく、弁護士のサービスのクオリティを高める支援を通じて、安心安全な社会を作っていきたい」(元榮氏)。同社では、3月までに1万人の弁護士登録を目指す。

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