ネクタイの結び方から新しいウェブサービスの使い方まで、さまざまなハウツーを集めたサイト「nanapi(ナナピ)」が2012年5月に訪問者数1000万人突破という節目を迎えた。社名変更前のロケットスタートがnanapiを開始したのは2009年9月1日。ここまでの約3年の道のりだった。
nanapi代表取締役の古川健介氏は、学生掲示板の「ミルクカフェ」や「したらばBBS」など、数々のCGMサービスを立ち上げてきた人物だ。彼はどのようにしてnanapiを育て、日々のビジネスを営んできたのか。古川氏とCOOの宮崎拓海氏に聞いた。
ハウツーのサイトは、世の中のあらゆるジャンルのノウハウを集めることがゴールなんです。2009年9月頃に開始してそろそろ3年。コンテンツを集めて、ある程度の規模を確保するまでには時間が必要なので、2010年の12月にグロービス・キャピタルパートナーズから3億3000万円を調達しました。順調にコンテンツが集まれば確実に伸びる。そう信じてやってきましたね。
変わったことといえば、当初コンテンツをCGMで集めていたところに、「nanapiワークス」を立ち上げ、ユーザーに報酬を支払ってコンテンツを作ってもらうという方法を導入したことくらいです。ですが、それ以外に大きな変更や劇的な変化はありませんでした。じわじわ伸びる、という感じ。
古川:ロケットスタート自体は2007年12月にはもうあったんです。ですが、ちゃんと会社として運営を始めたのは2009年の6月。良いサービスを作るにはしっかりとコミットしてくれる人が必要だと認識した頃ですね。元々ロケットスタートには何人かメンバーがいたんですが、最終的には現在のCTOである和田(修一氏)と私の2人で始めることになりました。
最初はスモールスタートでいくつかの事業をやってみて、3カ月ほど様子をみて上手くいけばそれに集中する――たとえば月間で100万ページビュー(PV)を指標にするとか――そういう感じで、受託仕事と並行して自社サービスを展開しました。結果的に、他のサービスは売却などしてnanapiに集中することになりました。
2011年は苦戦していました。アクセス数は毎月20%程度ずつ上がっていたんですが、戦略的なものがあまりなく、記事を増やすことや、アクセス数を稼ぐこと、お金を稼ぐことの優先順位が定まっていませんでした。それではいけない、ということで2011年の10月頃からビジョンを決めたり、戦略を考えたりすることで、ようやく組織の足並みがそろうようになりました。
古川:新規開発に頼ってもうまくいかないことが多く、ひたすら日々の小さな改善のみです。アクセス解析は1日中見まくっています。コンテンツの背景色を変えてみたり、ランキングを何位まで出したらどう変化があるか、キーワードを日本語と英語で分けたら……など、仮説検証をひたすら繰り返してるんです。上手くいったノウハウは「仕組み化」する。そうやって最適化をどんどん進めてますね。
最近ではnanapiでテーマ分類をやって、カテゴリーで分けたりしました。他サイトでは当たり前にやっていることですが、ある程度コンテンツが集まらないと成り立たない仕組みです。すでに効果はあらわれていて、たとえば直帰率が30%以上改善していたりします。
古川:Yahoo! 知恵袋とかオールアバウトなどは参考にしてます。また、サービスとしてすばらしいのはクックパッドだと思っているので、とても参考にしています。
それらの競合と比べて、正直まだまだ何もかも足りていないと感じています。nanapiは、この先もいきなり訪問者数が10倍になるとかそういうことはないと思いますが、PVや売上に関しては大きく伸びる可能性を感じてます。
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