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IT人材がシリコンバレーを去る時

2006/10/12 08:00
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 AnnaLee Saxenian氏は、優秀な技術者が国外に移住することを「頭脳流出」ではなく、「頭脳循環」と呼ぶ。

 Saxenian氏はカリフォルニア大学バークレー校School of Informationの学部長として、情報がコンピュータネットワーク、組織、人間の間をどう行き来するのかを観察してきた。

 自称「経済地理学者」のSaxenian氏はこの春、グローバルな技術コミュニティの中をアイデアが循環する様子を描いた新著『The New Argonauts』をHarvard University Pressから刊行した。本書に登場するのは台湾、中国、インド、イスラエルからの移住者たちだ。彼らは米国でエンジニアの専門教育を受けた後、1980年代と1990年代にシリコンバレーに移住し、現在は母国で異なる文化や産業の「異種交配」に挑んでいる。

 51歳になるSaxenian氏がカリフォルニア大学バークレー校School of Information Managementの教授に就任したのは1995年、図書館学とコンピュータサイエンスを組み合わせた米国初の教育機関のひとつとして創設されてまもない頃だった。2004年には学部長に昇進した。Saxenian氏はウィリアムズ大学で経済学、マサチューセッツ工科大学(MIT)で政治学の学位を取得している。

 Saxenian氏が学部長に就任してから2年の間に、バークレー校のSchool of Informationは学際的なカリキュラムを採用するようになった。CNET News.comはSaxenian氏にインタビューを行い、Saxenian氏の理論と、現代の技術専門家に対する意見を聞いた。

--(新著のタイトルにもある)「New Argonauts」とは、どのような人たちですか。

 主にこの20年間に、工学系の大学院学位を取得するために米国に移住してきた人々です。彼らはインドや中国のエリートであり、これまではシリコンバレーの労働市場に吸収されていました。シリコンバレーは急速に成長し、大量の優秀な人材を必要としていたからです。

 彼らはシリコンバレーでもまれ、起業文化を学んだ後、台湾、インド、中国といった地域に戻り、会社を立ち上げたり、開発センターを設立したり、自国の政府とベンチャー企業を興したりするようになりました。

 それだけではありません。彼らは母国に戻り、地元のハイテク企業の経営者や政府の役人--高校の同級生や幼なじみとして、共に育ったかもしれない人々とも交流しています。これが「頭脳循環」です。

--このサイクルには、どのような利点があるのですか。

 これらの地域はこれまで、脇役の座に甘んじてきました。しかし、このサイクルを利用すれば、こうした地域もグローバルな技術エコノミーに速やかに参加することができます。最新の技術製品に搭載される部品やソフトウェアを生産し、供給ネットワークに加わることができるのです。

 たとえば、イスラエルはセキュリティやネットワーキング関連のソフトウェアを供給するようになっています。台湾も変貌を遂げました。1980年代の台湾は低コストの組立・製造拠点にすぎませんでしたが、今ではシリコンバレーのパートナーです。台湾の企業は工程と製造を徹底的に改善し、他国が真似できないようなノウハウを獲得しました。

 大量の人材が移動することで、新しい地域で新しいチャンスが生まれています。

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