サンが唱える「参加の時代」--Web 2.0を視野に入れたコミュニティ活性のためのアプローチとは - (page 2)

インタビュー:西田隆一(編集部)
文:富永康信(ロビンソン)
2006年09月29日 18時01分

--確かにそれは面白いですね。私も参加したいぐらいです。

 そこでは、相反するオープンソース同士の合同セミナーの開催企画が生まれたり、OSの開発に興味を持っている人に当社のエバンジェリストを会わせたりと、興味深い活用になっています。議論は激しくぶつかりますが、生産的なシナジーが生まれていると思いますよ。

--エンタープライズ向けのIT企業でそこまで積極的な活動を実施している企業は、少ないでしょうね。

 そうかもしれません。昔のSolarisの場合には、ISVでソリューションを付与して販売するスタイルでしたが、これだけオープンソースやコミュ二ティだと公言している以上、今後はオープンコミュ二ティの支持を得た製品を販売しなければ意味がありません。いろいろな交流から多彩なイノベーションが生まれて欲しいと考えています。

 また、Javaのユーザー会やWeb2.0的なコミュ二ティにも活動を広げ、それをサポートしているのがサンだということを評価の土台に上げて欲しいというのが本音でもあります。

--今後の活動における課題とは?

 アメリカにおけるオープンソースエンジニアの平均像は、40歳台、既婚男性となるそうです。しかし、日本だともう少し若く、30歳代既婚男性が中心になるでしょうか。しかし、そこに20歳代の若者の姿が見えないのです。実は彼らは、新しいネットワークサービスをベースとした開発などを手がけているのです。何かアイデアが浮かんだら、わざわざオープンソースで開発してその美しさを競うことなんかせず、自分たちでサービスを立ち上げてみせるスタイルのようです。そんな新たなスタイルでコミュ二ティが生まれるのであれば、そこに対して刺激を与えてみたいと思います。

 ネットワークを活用するセンスは、若い世代が優れているかもしれませんが、開発のスキルはオープンソースのコミュニティにいる世代が上手だったりもします。そのため、両方を結びつけるチャンスを作れないものかと考えているところです。

--今年夏に、リクルートと共同開催した「Mash Up Award」も、異色の組み合わせとして話題になりました。

 情報がサービスとなる時代ならば、当社がリクルートと組んでもいいのではないかという発想です。リクルートは、Web 2.0的なサービスを多くの開発者に使ってもらいたい。ところが、開発者のコミュ二ティへのルートを持っていません。それならば、サンの開発者コミュ二ティに新しいオプションを見せるような形でコンテストをしましょうということになったのです。そこで、11万人が登録するSDC(Sun Developer Connection)にも呼びかけました。

 条件はなく、サン由来の技術以外でもOKです。1カ月の短い開催期間にも関わらず、優秀な56作品もの応募がありました。参加した若い開発者にとっては、多くのユニークな技術に触れる良いチャンスとなったでしょう。

--今、Web 2.0的なビジネスを広げている人たちは、かつてのコンピュータ業界の人々とは異なるアプローチでビジネスに取り組んでいるような気がします。今後は、彼らにも受け入れられるビジネスが必要となってくるでしょうね。

 私もそう思います。ERPのオープンソフトウェアの登場によって、グループサーバを置かない企業が増えています。この傾向は、将来的にますます強まるはずです。それゆえに、当社ではネットワーク上のインフラベンダーとしてのビジネスの確立に注力しているわけです。そして、そこに至るまでの時間はそれほど遠くないと感じています。

 さらにWeb 2.0的なインフラには、先々に対応できるものを選ぶことが求められます。したがって最初はオープンソースベースで構築し、ビジネスが本格化した場合、そこで商用ベースのサービスに変えられるようなオプションを考えられる柔軟なインフラが必要となるのです。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]