だけれど逆に言うと、そんな馬鹿なことをやっているのはシリコンバレーだけなんですよ。そういう思想でお金が回っている場所というのは、あそこだけです。それぐらいの役割は、あそこに残してあげてもいいのではないでしょうか。
--やはりシリコンバレーという土壌が、ある種Googleを生んでいるというのはあるんですね。
もちろんそうですよ。シリコンバレーというのは、好きな人と嫌いな人がいるし、シリコンバレーをあまり美化してしゃべるつもりはないんだけど、たかがシリコンバレーなんだけど、されどシリコンバレーでね。やはりあそこのソフトウェア系の人材の厚みってすごいんですよ。だから自分たちが強いところで、何かを生み出したいと思うじゃないですか。
--梅田さんは日本でそういうシリコンバレー的な役割を作れるマーケットなり、社会システムみたいなものができたほうがいいと思いますか、それとも日本で優秀な人材がいるのだったらシリコンバレーに来たほうがいいよと思いますか。
それは日本でできたほうがいいですよ。そしていまは日本にできつつあると思うわけです。それはネットの世界だけですけどね。ベンチャーキャピタルのお金も結構、増えてきたし、新興市場も充実してきました。それからヤフージャパン、楽天を初めとして、列強と言われるような人たちが小さい会社を買収する、そういうイグジット(出口)もできてきたからだいぶ箱はできてきた。だから若い人たちが、ここの世界で自由闊達に起業して、借金をしないで会社を作っていろいろ冒険したりできるというところまできた。
欠けているのが、さっき僕が言った「深い技術」というところなんですよ。そこの部分の感じが入らない、まだね。だからイメージとしては、25年ぐらい前、1980年頃のシリコンバレーと、今の日本のネット周辺で起こり始めた世界というのが似ているんじゃないかなと思うわけです。
アメリカ一のベンチャーキャピタリストのジョン・ドーアは、ちょうど25年ぐらい前、これからベンチャーキャピタリストになろうという若かりし頃に、スタンフォード大学に入り浸って次の技術を探して、同世代の連中と一緒になって泥にまみれて、いろんな会社を作るのにかかわってきた。
それで25年経ってみると、だいたい彼らの世代はビル・ゲイツ世代だろうから、ちょうど50歳とか、そのぐらいになっています。そうすると、その25年間でシリコンバレーというのは、ほとんど誰も知らない場所から世界のハイテクのメッカになったわけです。そうすると、そこまで作ってきた時にベンチャーキャピタリストがいれば弁護士もいれば何もいて。「みんな、あの時、あのプロジェクトを一緒にやった仲間だな」という感じになっているわけです。
日本で今、そういうシステムができるかというと、そんなに簡単ではないわけですよ。それにはまだまだ時間がかかると思います。
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