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UIEngineが生み出す新しい家電のコンテンツサービス

インタビュー:永井美智子(編集部)
文:加藤さこ
2006/01/05 18:31

 米MicrosoftのInternet Explorer(IE)3、4やWindows 98で主任設計者を務めた人物がいま描く未来は、PCやデジタル家電などの機器がすべてネットワークを通じて1つのコンテンツでつながる世界だ。

 人気ブログ「Life is beautiful」の著者でもある中島聡氏は、1989年から2000年までの間、Microsoftでユーザーインターフェースの開発に携わってきた人物だ。2000年には、携帯電話やPDAなどさまざまな機器で1つのウェブアプリケーションが利用できるようにするためのソフトウェアを開発・提供するUIEvolutionを設立している。

 これまで米国を中心に事業展開していたUIEvolutionだが、2004年3月にスクウェア・エニックスに買収され、2006年1月には日本法人「UIE株式会社(仮称)」を設立して国内でのビジネスを本格始動することになった。なぜ今、日本で事業を展開するのか、UIEの事業内容とその狙いについて、中島氏に聞いた。

--2006年1月、UIEvolutionが日本法人を設立するわけですが、まずは、これまでのUIEvolutionの事業内容についての概要を教えてください。

 UIEvolutionはウェブアプリケーションを使い勝手の良いものにし、あたかもリッチクライアントのように動かすためのユーザーインターフェースエンジン「UIEngine」を開発、提供しています。AJAXに近いと言えますが、これは、僕がMicrosoftで働いていた1990年代から考えていたものです。

 これからは、どんどんファットクライアントがなくなっていくと思います。最終的には、Officeのように大きいソフトウェアをクライアント側にインストールして動かす時代は終わり、すべてがウェブアプリケーションになる時代が到来すると思っています。アプリケーションのロジックやユーザーインターフェースの技術はすべてサーバ側にあり、クライアント側にはユーザーインターフェースのレンダリングエンジンだけがあるという環境。1998年頃から、ユーザーから見るとすべてがクライアント側で動いているように見えるけれども、実はウェブアプリケーションですべて動いているという時代が来ると思っていました。

--そう思ったきっかけは何だったのですか。

 Marc Andreessenが書いた「Netscape One」というドキュメントを1995年に読んだとき、ものすごく感動したんです。彼は、ファットクライアントの時代は終わると明言していました。ユーザーにアプリケーションをインストールさせるのはおかしいんじゃないかと。PCを初めて買うような初心者に、アプリケーションのインストールやデータのバックアップをやらせてしまうのが、そもそも間違いなんです。メンテナンスやバックアップはプロがやるべき作業です。だから全部サーバにあるべきものなんです。

 正しいアーキテクチャはウェブアプリケーション、そしてそのユーザーインターフェースはブラウザだといってAndreessenが作ったのがNetscapeでした。

 僕は当時、IE3.0、4.0を手がけていたので、尊敬するNetscapeと戦っていたわけですが。そしてIEが市場を取りました。しかし、その後、ダイナミックHTMLの機能を入れ、Hotmailのインターフェースを良くしようとして、うまくいかないことに気づきました。ブラウザでやるには難しすぎたんですよ。そこで1998年頃には、ウェブアプリケーションという方向性は合っているけど、そのユーザーインターフェースにブラウザを使うのは違うのではないかと思い始めました。

 その頃僕は、MicrosoftでMS Officeをウェブアプリケーションにしてゼロからやり直すべきだと提案していたんです。Officeは、当時すでに古いソフトでした。新しく開発して全部ウェブアプリケーションでやりたいと言うと、Bill Gatesが「そんなことできるわけない」と怒りましたよ(笑)。2年ほどMicrosoftの中で喧嘩をしたりして、これはダメだと思った2000年に退職してUIEvolutionを作ったんです。

--Microsoftは、ウェブアプリケーションに対して消極的だったのでしょうか。

 「これからはウェブの時代だ」という声は内部でもよく聞きました。(クライアントソフトは)時代遅れだから本気でウェブに乗り出さなければという人もたくさんいたんです。でも、その当時OfficeとWindowsの売り上げは伸びていました。伸びているものを捨てるのは経営判断としてできないですよね。

 Windows 95でGUIのOSとして完成して、それが事業として収穫期に入ったところでしたから方向性は変えられない。1998年から2000年くらいまでの収益を考えればある意味では正しい結論だったけど、そのせいでMicrosoftはMSNをうまく育てることができなかった。これは会社としてWindowsを取った結果だと思います。

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