オープンソースに賭けるサン

Stephen Shankland (CNET News.com)2005年02月17日 11時15分

 カリフォルニア州サンタクララ発--Sun Microsystemsはそのたぐいまれな予見力を武器に、自分よりも大きなライバルとの戦いを生き抜いてきた。それを考えると、Jonathan SchwartzがSunのナンバー2であることは当を得ているといえるかもしれない。

 「アイデアマン」として知られるSchwartzも、最近はアイデアの具現化に追われている。3年連続で減収が続いているSunは、今めまぐるしい変化の時代を迎えている。

 SunがSchwartzの新興企業Lighthouse Designを買収したのは1996年のことだ。以来、SchwartzはSunで出世の階段をトントン拍子に上ってきた。そして2004年4月、SunがMicrosoftとの和解と、3年間で3度目の大規模な人員削減計画を発表したその日に、SchwartzはSunの社長兼最高執行責任者(COO)に就任した。

 その後にSchwartzが打ち出した再生戦略の大半は、ソフトウェアに関するものだった。Sunの営業担当者の仕事は、もはやハードウェアを売ることだけではない。SunのオペレーティングシステムSolarisのオープンソース化も進んでいる。Sun製データベースの登場も現実味を帯びてきた。

 しかし、Schwartzの挑戦はソフトウェアにとどまらない。今度は計算処理能力の売買を可能にする新サービス「Sun Grid」を始めるという。このサービスによって、これまでは自前で機器を購入・運用してきた企業を取り込むことができるとSchwartzは考えている。CNET News.comは当地で開催されたSunのアナリスト向け年次会議でSchwartzにインタビューを行った。

--昨年以来、景気は回復基調にあり、サーバ市場もマイナス成長から脱しました。しかし、Sunの業績はIBMやDellほど伸びていません。Sunの構想が魅力的なものだとすれば、売上が伴わないのはなぜでしょうか。

 売上単価は減少傾向にありますが、販売台数では、あなたのご指摘とは逆に、Sunのシェアは伸びていると思います。x86サーバがそのよい例です。われわれはHPやIBMを抜き、Opteronサーバ市場のリーダーとなりました。誰がこの事態を予測したでしょうか。大規模データセンターシステム分野では伸び悩んでいますが、それは業界そのものが低迷しているからです。

 Solaris 10のオープンソース化も、潜在的な成長要因となっています。ダウンロード数は100万に迫り、その95%はSun以外のハードウェアにインストールされています。これは成長のチャンスを意味します。DellマシンでSolarisが動いているということは、Dellの顧客にアピールする機会を手に入れたということですからね。

--販売台数の重要性は理解していますし、数が数を生むという論理も分かりますが、売上も重要な指標です。売上は必ず上昇するとお考えですか。そうであれば、その時期は。

 せっかくですが、将来予測を口にするつもりはありません。販売台数は重要ですし、売上も重要です。去年から今年にかけて、Sunは半期ベースで成長を遂げてきました。もちろん、われわれは企業としての成長を重視していますが、われわれにとっては、Sunのソフトウェアプラットフォームの普及率が将来の成長の指標となります。市場では今、Java対応の携帯電話機が増え、XM Satellite Radioのクライアント数が増え、Solarisのダウンロード数が増えています--長期的に見れば、これらはSunにインフラとなる製品やサービスを提供する機会をもたらすことになるでしょう。

--今から5年後、10年後の消費者は、計算処理能力をどう消費しているのでしょうか。

 企業の未来を知りたいなら、平均的な消費者の行動に注目することです。ほとんどの消費者は、自分が所有しているインフラよりも、他人が所有し、運用しているインフラを利用しています。たとえば、私は携帯電話を持っていますが、友人と話をしたり、両親に写真を送ったりするときは、基本的に契約している携帯電話会社のインフラを利用します。レストランを予約するときは、Opentable.comにアクセスします・・・つまり、他人のインフラを使うわけです。

 企業はこのプロセスに乗り遅れています。一部の企業、たとえばSalesforce.com、Hewlett、eBayなどを活用している企業は、ネットワークを利用すれば、すべてを自前で調達し、運用しなくても済むことに気づきました。Yahoo MailやGmailを利用している消費者は大勢いますが、自分でメールサーバを立ち上げ、運用している消費者はどれくらいいるでしょうか。ごくわずかです。5000万ドルのインフラ予算、管理者、データセンター、不動産、そして電力は、企業にとって本当に必要なものなのでしょうか。1時間1ドルで同等の計算処理能力を手に入れられるなら、その可能性を検討するべきではないでしょうか。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]