不屈の男、バルマー - (page 2)

Ina Fried(CNET News.com)2004年04月15日 10時00分

---EUの裁定が出た直後、The New York Timesに興味深い記事が掲載されました。現在のMicrosoftは公益企業のようなものだというのです。一連の法廷闘争はつまるところ、Microsoftが自らを公益企業と認めるかどうかにかかっていると。Microsoftは公益企業と同等の規制を受けるべきだという意見は行きすぎでしょうか。

 いささか突飛だと思いますね。というのも特定の主権国家、つまりMicrosoftの本拠地である米国がすでに見解を明らかにしているからです。この問題はすでに片が付いているのです。新しい制度が整備され、裁判所の判決も下されました。米国での和解命令に基づいて、行動の枠組みも示されています。EUも主権国家の連合体であることに変わりはありません。

 国際レベルで、米国の原則に対する合意が形成されることを切に願っています。EUとの訴訟では共存の枠組みを模索しましたが、妥協点を見いだすことはできませんでした。今後の控訴審を通して、各国、少なくとも大西洋の両側で共有できる体制が整うことを祈っています。EUとの訴訟で、米国の裁定や表明に十分な敬意が払われなかったことを残念に思っています。

---Nasdaqの平均株価と比べて、Microsoftの株価は伸び悩んでいます。このような状況で、なぜそれほど楽観的でいられるのですか。

 この数年はMicrosoftにとって移行の時期でした。私が楽観的でいられる理由はいくつかありますが、そのうちの3つを説明しましょう。

 第一の理由は、マスコミが「ITは死んだのか」といった記事を書き立てたにも関わらず、変化の速度もITの影響力も衰えていないことです。私はこうした記事を信じたことはありませんが、通過儀礼としては意味があったかもしれません。

 第二の理由は、研究開発の成果をこの目で見たことです。Microsoftの研究所では画期的な技術が次々と開発されています。こうした技術が今後どう活用されていくのか、楽しみで仕方ありません。

 第三の理由は、訴訟と和解が一段落つき、ついに前進できるようになったことです。唯一の例外はEUとの訴訟で、これについては蜂の巣をつついたような騒ぎになっています。これも重要な問題には違いありませんが、米国ではすでに新しい枠組みが構築されており、我々はこの枠組みのなかでどう生きるかを学び、新しい責任を受け入れています。

 「Microsoftは最盛期を過ぎたのか」という人もいますが、そんなことはありません。我々は思春期を脱し、まさに働き盛りの年代に入ったところです。もう思春期のような突発的なエネルギーは出ないかもしれませんが、成熟した大人として、しかるべき責任を果たそうとしています。

---あなたは過去にいくつもの大きな賭けをしてきました。その最たるものが「Longhorn」です。Longhornは単なるOSではなく、Officeなどで実現したいことをすべて可能にするものだということでした。しかし、言い方はいろいろとあるにせよ、Longhornのリリースには思ったよりも時間がかかりそうです。それまでの間、事業をどう進めますか。このままではOfficeとWindowsのバージョンにずいぶん間があいてしまうのでは。

 話を整理してみましょう。そもそも、このプロジェクトは大きな前進が必要だという判断から始まりました。各アプリケーションの機能を飛躍的に向上させ、ユーザーに大きな利益を提供したい。そのためには小さな一歩ではなく、大きな一歩が必要でした。

 大きな進化には時間がかかるものです。私はこの判断に満足していましたし、その気持ちは今でも変わっていません。それが一つです。

 第二に、Officeの開発速度は決して落ちていません。我々はOffice2000をリリースし、次にOffice2003をリリースしました。今は次期バージョンの開発に取り組んでいます。しかし、ほとんどのユーザーはまだOffice2003に移行していません。リリースされてからまだ4、5カ月ですから、インストールベースでは1、2、3%といったところでしょう。次に大規模なリリースが必要になるまでには、まだ相当の時間的余裕があります。

 Windowsに話を戻しましょう。Windowsに関しては、複数の非常に重要なリリースがあります。Windowsの最新版はWindows XPです。モバイルの分野ではTablet PCが登場し、エンターテインメントの分野ではMedia Centerが誕生しました--どちらも大きな前進です。さらにXP Service Pack 2(SP2)もリリースされる予定です。

 Service Pack 2にはこれといった「キャッチー」な名前はありませんが、特に必要もないでしょう。では、この製品は顧客に重要な影響を与えるものなのか--先ほど、最近は機能追加と同じくらい、問題に迅速に対処することが重要になっているという話をしましたが、その意味でいえば答えはイエスです。XP SP2は非常に重要なリリースになるでしょう。我々はLonghornの機能を縮小するか、リリース時期を延期するか、あるいはその両方を組み合わせてでも、XP SP2の出荷を優先することを決意しました。

 我々は適切な判断を下しています。XP SP2はその一つであり、その後に登場するのがLonghornです。これはエンドユーザーと開発者のどちらにとっても、より重要な新世代のWindowsとなるでしょう。ユーザーは2年ごとにビッグバンが起こるより、その間に小規模なアップデートが行われることを求めるかもしれません。この種のサイクルについても、多少の試行を予定しています。

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