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「今年の夏はサーバが熱い」:インテル、新Itanium 2の戦略

2003/07/03 10:00
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 Mike FisterはIntelのエンタープライズプラットフォームグループ担当のシニアバイスプレジデントである。激戦の続くサーバ市場におけるシェア拡大を語るとき、彼の表情は真剣そのものだ。

 Intelは事実上、4個以下のプロセッサを搭載したサーバ市場をXeonチップで独占している。IntelはFisterを柱に、サーバビジネスをより発展させ、Sun MicrosystemsやIBMを市場の脇へと追いやる意気込みだ。

 カリフォルニア州サンタクララに拠点を置くIntelは、Itaniumチップの普及がなかなか進まない状況に立ち向かってきた。しかし、6月30日(米国時間)に発表されたMadisonは、Itaniumの普及を一気に加速させるかもしれない。Madisonは従来のものに比べ性能が50%以上向上し、現時点で多くのPCメーカーがMadisonの採用を表明している。

 Fisterの使命は、この普及速度を加速させることだ。そのためにIntelは半導体ユーザーやソフトウェア企業と連携をとり、新しいプロセッサの採用を促す必要がある。ライバルのSunは何年間もこの努力を続けてきたが、Intelはこれまでコンピュータメーカーに任せきりだった。

 FisterがIntelに入社したのは、まだPC業界の中心がDOSだった頃だ。CNET News.comはItaniumを始めとするIntelの半導体戦略について聞いた。

---Intelにとって今夏の重点はサーバビジネスになるようですが、どんな計画ですか。

 Gallatin(現在のXeon)の新バージョン、それに2年前の予告通りのタイミングでMadisonの発表を控えています(編集部注:インタビューはMadison発表以前に行われた)。非常に面白いOEMシステムを発表する計画もあります。また、スーパーコンピュータ関連企業の上位500社にランクインする予定です。他にもIntelアーキテクチャ(IA)ベースのクラスタが多数出る予定で、多くはItaniumベース、残りがXeonsベースです。

---Itaniumの売上げはあまりぱっとしませんが、Madisonに対するコンピュータメーカーの関心は高まっているようです。性能が向上したためでしょうか。それとも、Itanium対応のソフトウェアの数が増えたからでしょうか。Itaniumはアプリケーションが不足しているという声をよく聞きますが。

Intelが計画中の
サーバ用プロセッサ

Madison
Itanium 2の新版でMcKinleyの後継
特徴:1.5GHz; 3〜6Mバイトのキャッシュメモリ
詳細:6月30日に発表

Gallatin
4-way以上のサーバ向けXeon
特徴:2GHz; 高速版も6月30日に発表
詳細:4Mバイトのキャッシュを搭載したバージョンが今年末に発表予定

Deerfield
ブレードサーバ向け、低電圧のItanium 2
特徴:1GHz; キャッシュ1.5Mバイト; 今年後半に 発表予定
詳細:Madisonよりも省電力・低価格

Prescott
Pentium 4.の改良版
特徴:1MBのキャッシュメモリ; 3GHz以上; マルチメディアに適しており、セキュリティ技術LaGrandeを採用
詳細:AMDのAthlon64と競合

Nocona
1、2個のプロセッサボックス向け2004年度Xeon
特徴:Prescottと同じコアを利用
詳細:Lindenhurstチップセットとセットで提供

Potomac
4-way以上のサーバ向けNocona
特徴:大容量のキャッシュメモリ
詳細:2004年発表予定

出典:インテルなど

  Madisonの性能は人々の期待を上回るでしょう。アプリケーションの種類もどんどん増えています。 今では300以上の主要な製品(アプリケーション)があります。 データベース、ビジネスインテリジェンス、SCM(Supply Chain Management)、ERP(Enterprise Resource Planning)などです。様々な分野のエンドユーザーから大きな反響を得ています。

---Itaniumは販売量が鍵となる製品ですね。ハイエンド向けXeonも同様です。Intelはこれまで半導体を大量販売するという手法をとってきました。しかし、モノリシック集積回路システムを使った大型32ビットプロセッサは、販売量も少なく、価格も高い。この違いに対応するために、戦略を変えざるを得なかったということはありますか。

 半導体プロセス開発部門のお陰で、我々製品部門はとても簡単に壁を乗り越えることができました。様々なプロセッサを同じ工場でつくれるようになったのです。

 最も大きな構造変化が起きたのは3年以上前のことです。この市場でシェアを拡大するにはもっとソリューションを打ち出す必要がある、と考え始めました。そこでソフトウェア業界と連携する人の数を大幅に増やし、エンドユーザーとのミーティングも昔より多く開くようになりました。私自身も社外で、高性能コンピューティングに関してNASAなどと意見を交換します。小売業界、金融機関のCIOやCFOとも話をします。

---数週間前にあるアナリストと話をした時、Madisonには膨大な量(6MB)のキャッシュがある上に、EPIC(明示的並列命令コンピューティング技術)アーキテクチャをゼロから作り上げたのだから、今までのものよりもっと性能が上がってもいいはずだと疑問を唱えていました。

 誰かはわかりませんが、そのアナリストは矛盾することを言っているように思います。現行のItaniumチップであるMcKinleyは、ここ10年ほどに販売された全ての半導体を打ち負かしました。すばらしいことです。そして、ほとんどの技術専門家はMcKinleyを高く評価しています。Alphaの開発技術者と進めているプロジェクトについてあまり話はできませんが、2005年頃に発売予定のItaniumプロセッサを専門に開発しています。

---彼らはデュアルコア版ItaniumであるMontecitoの開発陣だったのでは。

 違います。彼らはMontecitoの次世代チップを開発中です。その名前はまだ発表していません。多分Madison発表時に明らかになることでしょう。Alpha EV8の開発に携わった人間が発端となっています。

---Montecitoの後継と言われていたChivanoはどうなりましたか。

 ChivanoとMontecitoが一緒になったものが、今のMontecitoです。

---EV8開発陣は非常に精巧なマルチスレッド技術の開発に取り組んでいました。この技術を発展させていく計画は。

 スレッド技術は当社にとって重要な技術です。サーバビジネスが非常に興味深いのは、それが新技術育成の場となる点です。新技術をサーバ業界に出して認められれば、その技術はデスクトップ、ノートパソコン、そして最終的にはハンドヘルド端末へと滝のように流れていきます。

 当社がエンドユーザーとの関係を深める理由の1つがここにあります。当社は今まで以上にコンピュータプロセス技術の開発に力を入れているのです。

---どのように行っていくのですか。

 二十数年前、私は8086の設計をしていました。当時はIBMのメインフレームを研究すれば、何をすべきかヒントが得られました。しかし時が経つにつれ、何をすべきかがどんどん見えにくくなっています。

---EV8にはRambusの統合メモリコントローラも組み込まれていました。今後もそれが続くのかは分かりませんが、一般的に言って統合メモリコントローラをどう考えますか。役に立つ技術だと思われますか。

 役に立つ可能性はありますが、全てはタイミング次第です。統合メモリコントローラはIntelでももちろん研究しましたが、採用には至っていません。メモリ技術はマイクロコア技術よりも進展速度が速いからです。したがってタイミングを外すと失敗します。すでに某社が失敗しそうになっています(編集部注:AMDが統合メモリコントローラをOpteronに採用している)。

 当社が統合コントローラを使うかどうかは明かせませんが、当然検討中です。半導体のダイにキャッシュを搭載したり、マルチコアを持たせたときと同じです。統合メモリコントローラを採用した企業もありますが、それは性能を上げる方法が他になかったからでしょう。

 統合コントローラを組み込む場合には、皆さんに納得してもらえるものにします。処理速度だけでなく、消費電力にも注目する必要があります。EV8開発陣は200ワット以上を消費するコントローラを検討していましたが、これは実用の範囲を超えています。Intelではもっと適度な消費電力を実現するつもりです。そのためには多くの研究が必要となります。

---Sunが発表したマルチコア・マルチスレッドの半導体、Afaraについてはどうですか。

 そうですね、過剰仕様は役に立たないと思います。彼らの発表を興味深く読みました。今現在、Microsoft環境下におけるスレッドの限界数は64、Unix環境下では128か256です。それよりも、アプリケーション業界と足並みを揃える必要があります。自社がどこに向かうかを理解し、対応するアプリケーションを作ってもらう必要があるのです。

 アプリケーション業界に種をまき水をやれば、木が育つ可能性があります。しかしそれは非常に複雑な作業です。数百のスレッド能力をもつ半導体であれば、企業の労力はどれほどのものになるのか。考えるだけでも恐ろしいことです。

---Itaniumの可能性はどれほどのものですか。Unix市場の獲得が狙いとされていますが、Gartnerの調査ではUnix市場の売上げはサーバ市場全体の半分以下、販売数では18%程度とされています。市場は縮小の一途を辿っており、Intelの32ビットプロセッサもその原因のひとつです。

 この市場にはシェア獲得のチャンスがあります。サーバやストレージ関連の製品は巨額の収益をあげられる市場でもあるのです。販売数は比較的少なくても巨大市場であることに変わりなく、サーバは数十億ドルの資産となる設備です。

 さらにこの市場は技術育成の場でもあります。先のことかもしれませんが、歴史が繰り返せば、技術を育てることがクロスオーバーを生むこともあります。したがって、いつかはItanium系プロセッサがIA-32シリーズとクロスオーバーし、市場の大部分を占める可能性があります。当社は製品のラインナップを拡大し、重複部分を作ろうとしているのです。

---Madisonの省電力・廉価版であるDeerfieldのことですか。

 それもひとつの例です。製品ラインアップの幅を広げれば、製品間に重複が生まれます。顧客が64ビットを必要とするのか、その時期も全く分かりません。しかし、64ビット技術の採用が広まれば、サーバに利用することはできます。

 重複を進めれば、値段にも一貫性が出せるようになります。半導体サイズや消費電力を理由に「Itaniumは永遠にハイエンドのニッチ商品だ」という考えは間違いです。

---Xeonで現在進めている技術を発展させるつもりですか。現在Xeonは36ビットで64GBのメモリがありますが、Xeonを拡大しますか。それともその領域はItaniumに任せますか。

 それはよく聞かれる質問です。次世代のXeonのアーキテクチャ性能については、慎重な立場を取っています。Itaniumの強みは64ビットの能力だけだというのは間違いです。ItaniumはIA-32についてこれまで指摘されてきた不足を解消するものです。IA-32ではレジスタ数に限界があり演算容量も不十分です。

 しかし今後長期に渡ってIA-32シリーズは継続すると約束します。このシリーズで最もすばらしいのはスレッド技術です。仮想化技術の導入も予定しています。LaGrande(今後導入予定のセキュリティ技術)を始め、多くの技術が搭載される予定です。

---メモリの話を続けましょう。1991年頃、Intelが会社の方向性を議論していた頃、オレゴンの開発陣は32ビットシリーズを64ビットシリーズへ拡大することは可能だと言い、サンタクララの開発陣は今のItaniumを開発するべきだと主張しました。なぜItaniumの開発に意見が傾いたのか、理由を教えてください。

 当時は激しい論争が繰り広げられました。32ビットのアーキテクチャを発展させる方法が次々と見つかるのか。古い32ビット技術とそのアーキテクチャを使った製品で生き残れるのか。これが問題でした。ご存知の通り、アドレスの数も種類も何もかもが膨大です。その中で生き残れるのか、しかもP6の時のようになれるかが課題でした。

 P6はすばらしいシリーズで、その開発に関われたことを誇りに思います。我々はP6の中心的要素を残し、ほかの多くの要素をそぎ落としました。そぎ落とした部分がPentium lll、Xeon、そしてCeleronになりました。すごいことです。問題はデスクトップや大型コンピュータが多様化するなかで、どう進化し続けるかです。状況は複雑です。デスクトップは低価格化の圧力が強く、サーバのような大型コンピュータはニッチ化が進んでいます。

 我々が進化を続けるためには、我々の製品群も多様化する必要がある、という理解に達しました。目的ごとに専用のサーバ用プロセッサを開発しながら新世代技術も導入し、それらがいつかクロスオーバーすると考えました。

---しかし、ソフトウェアの互換性の問題がありましたね。くじ引きをして「Craig(IntelのCEO、Craig R.Barett)、今回は君の負けだ。開発者にアプリケーションを書き直すように言ってこい」と言ったのですか。

 それは分かりません。私も初めはItaniumの開発者ではなくて、反対側、つまり32ビットシリーズの開発者でした。32ビット技術を発展させる方法についても強力な意見がありました。しかし当社は現実を賢明に判断し、アーキテクチャの変更とソフトウェア業界の取り込みが必要だと考えました。そしてコンパイラに関する基礎技術の開発に着手したのです。

---IA-32のコードをItaniumでも走らせるようにするIA-32 Execution Layerは、どの程度重要だとお考えですか。

 統合環境にを求める顧客は、古いコードを変換することなく将来のサーバでも走らせたいと願うことでしょう。メインフレームは20年前のCOBOLで動いていますが、COBOLの開発者はもういません。辞めてしまったのか、引退したのかはわかりませんが。だからその変遷の経緯も知りません。分かっているのは、それが動くということだけです。

 最初のItaniumシリーズのハードウェア製品には互換性がありました。そして今は、違うものをお見せできる段階です。それはコンポーネントの発展に合わせて進化できるソフトウェア環境です。

---互換性がうまくいかなかったからですか。

 互換性はうまくいきました。しかし性能面での限界がありました。そこで、別の方法でハードウェアの性能を上げる本当に良い方法を見出したのです。

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