この秋、htcの「Touch Diamond」が日本でも発売される。Windows Mobileを搭載した、いわゆる「Windowsケータイ」だ。
しかし、この「Touch Diamond」は今までの「Windowsケータイ」とは大きく違っている。従来の端末は、画面の見た目や操作方法がWindowsに似ているものだった。これはWindows MobileというOSの特徴だが、Windowsを使い慣れた人にとっては慣れ親しんだ雰囲気を持っている一方で、パソコンが得意ではないユーザーにとってはハードルが高いと感じられがちだった。デザインもビジネス用の雰囲気を持っていた。
この常識を大きく変えたのが「Touch Diamond」に搭載された「TOUCH FLO 3D」だ。指先で画面をなぞることでメニューやアプリケーションを操作することができ、縦横を持ち変えると画面表示も自動で切り替わる。大きさも、手の中に納まるほどに小さい。
まるで「iPhone」のような、おしゃれで手軽な雰囲気の「Windowsケータイ」。こうした自由さを持った端末が登場したのも、スマートフォン市場が成熟してきたからではないだろうか。この機会に、あらためてスマートフォンの歴史を振り返ってみよう。
「Touch Diamond」。
手軽に操作できるコンパクト端末が魅力
PDAに通話機能がついたスマートフォンというものがアメリカで使われ始めた、という話が聞こえてきたのは2000年代に入ってすぐのことだった。しかし、日本にはそれが一向にやってこない。PDAもあまり定着せず、携帯電話が独自の高機能化を遂げていた日本にスマートフォンは馴染まないだろうという声もあった。
そうした中、2005年7月にドコモからモトローラの「FOMA M1000」が登場した。無線LAN機能やBluetoothを搭載しており、ユーザーが自由にアプリケーションをインストールすることも可能、タッチスクリーン採用、と現在人気のスマートフォンに近い形のものだった。日本で個人購入できる初のスマートフォンだったが、今ひとつ火がつかなかった。iモードメールが使えない、パケ・ホーダイの対象ではないなど、個人ユーザーが手軽に利用するには障害があったのがその理由の一端だろう。
しかし、「FOMA M1000」は「日本にも本格的なスマートフォンがやってきた」と一部のユーザーを喜ばせた端末なのは間違いない。