前回は、MacBook Pro 13インチのデザインと画面サイズ、そして軽さについて触れた。
筆者はこれまで15インチのMacBook Proを使ってきたが、これを持ち歩く際は、なるべくバックパックを使うようにしている。手提げや肩掛けの鞄で2kg以上のパソコンとその他の道具を持ち運ぶのは、疲労や肩こりなどを引き起こしやすいためだ。
約440g軽くなった13インチMacBook Proは、まだ1.58kgと決して軽くはない重量ではあるが、それでも15インチを担いでいた頃よりは負担が少ないことを実感する。トレードオフとなる画面サイズの縮小についても、解像度のスケーリングなどで実作業スペースがそこまで失われるわけではないことも確認できた。今回は、セットアップの簡単さ、新たに搭載されたインターフェースや、MacBook Proらしい拡張性についても触れていこう。
筆者のような既存のMacユーザーの場合、まずは古いマシンから新しいマシンへと環境を移行するだろう。かつてはたくさんのデータやアプリ、設定などを引き継ぐ必要があり、それなりに時間がかかる作業だった。
ところが昨今は、データはDropboxやEvernote、iCloudといったクラウド環境があり、写真は今後、iCloud Photo Libraryに保管されてすぐに同期できる。100Gバイトを超える音楽ライブラリはiTunes Matchに保管されており、そしてアプリはMac App Storeから再ダウンロードすればよい。
そして、新マシンにすべてをコピーする必要は必ずしもない。たとえばiTunesライブラリは、iTunes Matchを利用していれば、保管されている楽曲をストリーミングしながら再生できる。また、iCloud Photo Libraryの写真は、もし手元のMacの容量が少なければ、最適化された写真のみを同期し、手元のストレージを節約することもできる。
こうして、あまり多くのアプリやファイルを同期しないよう調整すると、512Gバイトのストレージのうち、残り50Gバイトという旧マシンという状態だったはずが、128Gバイトのストレージが半分残っているという状態で環境を引き継げる。
もしWindows PCからMacBook Proに移行する場合は、もう少し手間がかかるかもしれない。ただ、DropboxもEvernoteもiTunes Matchといったクラウドサービスの多くは、Windowsでも利用できるサービス群だ。
MacBook AirとMacBook Proは3月9日のイベントで同時に刷新された。Apple Watchのインパクトが強すぎて、MacBookシリーズについてやや忘れられがちになってはいるが、MacBook Proに搭載されてMacBook Airには搭載されなかった新しい感圧トラックパッドの存在に注目したい。
これまでのMacBookシリーズには、大きくて使いやすいマルチタッチに対応するトラックパッドが内蔵されてきた。パッドの手前側が沈み込んでクリックできる仕組みを備えており、たとえば人差し指でポイントしながら手前を親指でクリックする、という操作が便利だった。
しかし感圧トラックパッドは、この沈み込むクリックの機構がなくなった。パッドは沈み込まなくなったのだ。実験として、電源を入れる前のMacBook Proでトラックパッドを押し込んでみると、何のフィードバックも返ってこず、よく観察するとパッドは沈み込んでいないことがわかる。しかしひとたび電源を入れると、まるで沈み込んでいるかのようなクリックのフィードバックが指先に伝わる。
物理的に動かないパッドへの入力に対して、擬似的にクリックの振動を作り出している、ということなのだ。しかも、クリックが認識されたときに振動するだけでなく、物理的に動いていた頃のように、話すときにもクリックが弱く起きる。そのため、実際はパッド全体が動いているように感じるのだ。
加えて、強く押し込む動作も認識できるようになった。たとえばウェブを見ていて、単語の意味を調べたいとき、その単語の上にマウスを合わせてパッドを押し込むことで、意味を表示するバルーンが開く。その開く様子を見ていると、力の加減を感知できていることもわかる。
物理的な動作がないことで壊れにくくなり、また稼働しないことから部品を薄くできる。しかしそれだけでなく、これまでの操作感覚を再現し、また筆圧などをアプリに取り入れることもできるようになった。
あらためて、このトラックパッドを使っていると、今までと何ら使い方を変える必要はないし、使用に違和感も感じない。しかし全く異なる仕組みで動作している点に、おもしろさを覚える。
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