現在のデジタルツールに求められる要素の1つに「アクセサリーとしての価値」がある。中にはデザイン性を追求することで、機能性や性能などを犠牲にするというケースもあるほどで、これはデジタルツールがコモディティ化する中で必然的な流れといっていいだろう。
と、評論家じみた“難しめ”の話はさておき、早速カシオのデジタルカメラ「EX-S100」のレビューをしていくことにしよう。冒頭の文章は、EX-S100がデザイン的に優れているということと、小型・軽量・そしてデザインを追求しながらも、機能性や性能に妥協がないことを表現しようと努力したものである。
デジタルカメラの低価格化が進み、いまや300万画素超のCCDを搭載した機種が、2万円を切る実売価格で販売されるようになった。このレビューを執筆している12月20日現在、EX-S100の店頭価格は、4万円を切る程度である。では、この2万円程度の差はどこにあるのか。それはアクセサリーとしての付加価値であろと筆者は考えている。
EX-S100のセールスポイントは、「世界最小の薄型光学ズームデジタルカメラ (2004年8月の発売当時)」である。実際のサイズは、体積約79cc(幅88×高さ57×奥行き16.7mm)と小さく、スーツやシャツの胸ポケットに入れてもかさばらない。大きさは、一般的な名刺入れよりも一回り小さいサイズと思って頂ければいいだろう。
ズーム機能を装備しながらも、このボディサイズを実現できたのは、同社が開発した「透光性セラミックスレンズ」の採用によるところが大きい。このレンズは、村田製作所が開発した「ルミセラ」という素材を用いている新開発のものだという。
素材の詳しい特性については、ルミセラのホームページを参照頂きたいと思うが、屈折率が高く単焦点のレンズを作りやすいのと、強度に優れているという特性がある。そして、カシオがルミセラを使ってレンズを開発した結果、約20%減の薄型化に成功し、EX-S100のようなズームレンズ搭載ながら小型軽量の機種が誕生したというわけだ。
もちろん、小さいからといってデザインが必ずしもよいというわけではないが、EX-S100は、そのあたりにも配慮した作りとなっている。まず、素材にステンレスを採用したことで、他のアルミ製ボディのデジタルカメラとは一線を画す仕上がりとなっている。また、随所に鏡面仕上げを施した点が、よいアクセントとなっており、その高級感を引き立てている。
なお、ステンレスボディーを採用したことで、113gと同クラスの製品に比べてやや重めの印象を受ける。しかし、それが丁度いい重量感であり、素材の高級感と相まって、小型軽量のデジタルカメラにありがちな見た目とは別の部分の安っぽさを打ち消しているといえるだろう。
デザイン面で、気になった点は、鏡面仕上げの部分に指紋が付きやすい点だ。シャッターボタン、ホールドする部分、メニューの決定ボタンなど、よくさわる部分が鏡面仕上げになっているので、気になり出すと止まらない。実際に筆者もたびたびハンカチやティッシュでそうした部分を拭いて使用していた。ちなみに、オプションで専用のハードとソフト、2種類の皮ケースも用意されており、本体の高級感を引き立たせる演出がなされている。
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