それでは、実際の音質を確認していくことにしよう。生音用にジャズギタリストの「パット・メセニー」のアルバム「Secret Story」を、電子音用には細野晴臣、高橋幸宏のユニット「SKETCH SHOW」のデビューアルバム「AUDIO SPONGE」の2枚のリファレンスディスクを使い検証した。
まずはパット・メセニー「Secret Story」を試聴。ピアノとギターの中高音とドラム、そこにベースの低音が加わる1曲目「Above the Treetops 」を試聴した。一聴して驚かされるのが、BOSEのスピーカーサウンドをそのままインナーイヤ型ヘッドフォンで実現していること。豊かな中低域に、心地よい音の広がり。非常に耳に親しみやすい音が聴こえてくる。バスドラムやベースなどの低音が力強く、それでいて中高域の繊細な音色を壊さない。ギターの細かなニュアンスやジャズ特有のアドリブ感、ライブ感、スケールの大きさを感じられる。
次に「SKETCH SHOW」のアルバム「AUDIO SPONGE」から、1曲目の「Turn Turn」を試聴した。こちらでもやはり際立つのは、低音の迫力と力強さ。電子音とはいえ、ダンスミュージックのような激しい4つ打ちとは異なる、ゆったりとしたサウンドが流れるような音の美しさが肝になる曲だが、時折入る「ドスッ」という低音がシンセサイザーの高音を邪魔せずに心地よく聴こえてくる。また、こちらは「パット・メセニー」のインストゥルメンタルとは違い、ボーカルも収録されているのだが、ボーカルもしっかりと独立して聴こえてくる。低音が強めのヘッドフォンでは、中域のボーカルが低域に干渉されて、こもりがちになることがあるが、輪郭がくっきりとした、生っぽい色気のあるボーカルが聴ける。
耳に乗せるという独特の装着方式のため、音漏れの心配や騒音対策などが気になるところだ。実際に地下鉄内で使用感を試したが、音漏れは予想以上にない。イヤーチップの音の放出口が、耳の穴にむかって小さく開いているだけなので、音はほとんど漏れないのだ。混んでいる電車の中でも、自分の聴きたい音量に上げても問題ないだろう。
ただ、ひとつ注文をつけるとした、イヤーチップがヘッドフォン本体から外れやすいこと。ヘッドフォンを、耳から外して首にぶら下げていたときに、イヤーチップを落としてしまった。コードを巻きつけて収納できるコンパクトなキャリングケースが標準で付属されているので、使わない時は収納しておいた方がよい。
「BOSEのスピーカーがついに耳の中へ」というコピーは言い得て妙。スピーカーで感じるBOSE独特の力強さを踏襲したヘッドフォンだ。ヘッドフォンの常識を越えた、空間を描き分ける力を持っている。BOSEスピーカーファンの人は、ぜひ一聴してこの意味を体感してもらいたい。
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