今のところ、Googleはマッシュアップサイトに広告を配信していないが、こうしたサイトに供給している地図画像に広告を表示する権利は留保している。また、ユーザーは利用規約により、これらの広告を手を加えずに表示しなければならない。
Yahooは地図の下部に目立つボタンを配置し、店舗や無線ホットスポットの場所を宣伝する権利を企業に販売している。同社の「Yahoo Maps」には道路の混雑状況やさまざまな目的地(中華レストラン、病院、ハイキングコースなど)を表示することのできる「SmartView」という機能も搭載されている。
Yahoo Japanは地図サービスを改善するために、ユーザーが身の回りのニュース(新しい店の開店情報など)を投稿できるようにしている。これはソーシャルテクノロジー/ネットワークの有効性を示すひとつの例だ。
Yahoo Localはユーザーが作成したコンテンツを直接取り込み、地図上に配置している。たとえば、「最高のマルガリータ」と入力し、都市名とZIPコードを指定すると、3件のスポンサー広告に続いて、ユーザーが書いたレビューと採点結果が表示される。
「特にYahooは、地図をローカル情報との接点のひとつと捉えている」とSterlingはいう。「私はYahoo Mapsをよく利用している。Yahoo Mapsなら、目的地から徒歩で行ける範囲のホテルを探すことができるからだ。文字リンクや一般的な検索サービスでは、距離の感覚はつかみにくい」
サブスクリプション方式か、出来高払いかという違いはあるにせよ、これまでのところ、広告は「最も有効性が証明されている」ビジネスだと、Yahoo MapsとYahoo LocalのシニアプロダクトマネジャーJeremy Kreitlerはいう。
「たとえば、Holiday Innは地図上にホテルの場所を表示し、宿泊予約や詳細情報へのリンクを提供することができる」とKreitlerはいう。「従来型の企業から広告を獲得するためには、地図を利用したアプローチが有効だ」(Kreitler)
MSN Searchのプロダクトマネージャ、Justin OsmerもKreitlerと同意見だ。「商用化のモデルとしては、広告モデルが最も有望だ。なかでも着信課金型広告は興味深い。このモデルでは、たとえばピザ屋の広告に表示された電話番号にユーザーが電話をかけると、MSN Virtual Earthに5セントが支払われる。これはクリック課金を一歩進めた広告モデルだ」(Osmer)
MSN Virtual Earthでは、ひとつの地図に複数の検索結果(レストラン、映画館、ホテルなど)を表示させることができる。Osmerによれば、Microsoftは企業が店舗の写真や営業時間などの情報を地図に追加できるビジネスモデルを考えているという。
また、不動産マッシュアップは地域密着型の不動産エージェントに物件広告を出す機会を提供していると、HomePages.comのMatt Heinz(シニアマーケティングディレクター)は指摘する。「不動産は航空写真地図のキラーアプリケーションになる」(Heinz)
マッシュアップの商用化は、もっとささやかな形でも模索されている。Gibsonは自ら運営する「GeocoderUS」で、ユーザーが住所を入力し、緯度と経度を無料で調べられるようにしているが、企業には検索2万件あたり50ドルを課金している。
「マッシュアップで利益を出すことが可能になれば、いずれ淘汰が起きるだろう。生き残るのは、ソリューションを持つ者だけだ」(Kreitler)
どの地図サービス、またはマッシュアップが最後に笑うのかを判断するのはまだ早いだろう。草の根の共同思考が持つ力に突き動かされて、この分野の技術は急速に進化している。ビジネスの話であれ、何であれ、何かを確信を持って予測することはまだできない。
オンライン地図は急速に、そして誰も予想しなかったほどダイナミックなものに変わりつつある。さらに多くの技術と結びつくことで、オンライン地図は遠からず、新しい進化の段階に突入するだろう。Google Maps ManiaのPeggは、特に活気のある分野として、道路状況サービスを挙げる。時差のないデータを利用できるようになれば、サービスの利便性は飛躍的に高まり、事故情報や気象警報を利用者に提供できるようになる。
「地図インターフェースの決定打が登場するためには、ライブの衛星画像が必要だ」とPeggはいう。「リアルタイムの地図情報--それだけが足りない」 (Pegg)
(次回は「若者--新時代の到来を告げる『ミレニアルズ』」をお届けします)
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