すでにウェブ上でも話題となっているが、10月5日から7日まで「Web 2.0 Conference 2005」がサンフランシスコのArgent Hotelで開催された。この刺激的なカンファレンスについて、私なりにテーマをピックアップし、ベンチャーキャピタリストとして感じたことをまとめてみよう。
その前にWeb 2.0とは何だろうか--まずはCNET Japanで翻訳されているTim O'Reilly氏の論文「Web 2.0:次世代ソフトウェアのデザインパターンとビジネスモデル」(原題は「What is Web 2.0」)を熟読して頂きたい。中でも「Web 2.0ミームマップ」は概念を理解する上で非常に役立つ図だ。
この論文でブログや写真共有サービスのFlickr、オンライン百科事典のWikipediaといった例を引き合いに出しているように、Web 2.0とはユーザーが生み出すオープンかつ無料のサービスやGmail、Google MapsといったAJAXベースのサービスを包括した概念である。また、「プラットフォームしてのウェブ(The Web as platform)」であり、「自分に必要なデータをコントロールできる(You control your own data)」ことが中心にある。
日本ではWeb 2.0といってもなかなか馴染みのない言葉であるが、ブログやソーシャルネットワーキングサービス、写真共有サービス、ユーザー参加型コミュニティサイト、Google Mapsを利用した各種サービスを利用しているユーザーは多く、理解しやすいようにも思える。
Web 2.0時代の中心はGoogle
さて、カンファレンスについて話を進めていこう。
カンファレンスに参加するには約30万円の高額チケットを購入しなければならないにもかかわらず、完売したということで会場は満員だった。約800名の参加者の熱気があふれかえり、ネットバブルのときの盛り上がりと重ね合わせて考える人も多かったように思う。
Web 2.0 Conference 2005のスケジュールとスポンサーを見るといまのインターネット業界の動向がわかる。目立っていたのは“サーチ”を巡る戦いだろう。今回、大口のスポンサーとしてAsk JeevesやGoogle、MSN Search、Yahoo!の四大勢力が勢ぞろいしていた。
初日のジェネラルセッションのオープニングに登場したのは、傘下にAsk JeevesやMatch.comを収めるInterActiveCorpの最高経営責任者(CEO)、Barry Diller氏である。
モデレーターを務めたジャーナリストのJohn Battelle 氏の最初の質問は「なぜ、Ask Jeevesを買収したのか?」であった。Diller氏は「今後もGoogleは引き続き35%から50%のシェアを占めるだろうか? そうはならないと思う」と答えていた。これは業界の覇権争いを象徴とする対談であり、Web 2.0 Conference 2005らしいスタートであった。
その後、GoogleのOmid Kordestani氏やMicrosoftのCTOのRay Ozzie氏らが登場した。Ray Ozzie氏はMSN Searchのビジョンを語っていた。
2日のジェネラルセッションのオープニングに登場したのはYahooの最高経営責任者(CEO)のTerry Semel氏である。
Semel氏は、Yahoo!について「テクノロジーを強化し、User-generated contents などの新しいWeb 2.0のコンテンツを強化する」という明確な方向性を打ち出していた。この戦略によってGoogleと対決していくという姿勢は非常に印象的であった。後半は、John Battelle氏からGoogleとの比較に関する質問があり、議論は盛り上がった。
最終日にはGoogleの共同創設者のSergey Brin氏が登場した。登場するとは知らされていなかったため、会場を驚かせた。当日はRSSリーダーのGoogle Readerの発表もあった。
上記の対談のモデレーターを務めたJohn Battelle氏は最近“The Search: How Google and Its Rivals Rewrote the Rules of Business and Transformed Our Culture(邦題は『ザ・サーチ--グーグルが世界を変えた』(日経BP社))”という本を出版したということもあるが、Googleを対立軸にライバル企業の思惑を引き出していた。John Battelle氏のメッセージは、Web 2.0時代の中心はGoogleであるということなのだろう。
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