Web 2.0時代の競争戦略: VC 2.0
初日のワークショップの“VC 2.0”というセッションは、Web 2.0時代のベンチャーキャピタルの投資のあり方を議論するセッションだった。ここでは前出のWeb 2.0ミームマップのコアコンピタンスに関しての重要な示唆が得られた。
スピーカーとして登場したSocial Textの最高経営責任者(CEO)のRoss Mayfield氏は、Web 2.0時代はオープンソースを活用することで、今までの10分の1の資金で十分だと主張した。つまり、優秀なプログラマーが数多く参加して開発した優れたソフトウェアを無料で利用できたり、サービスを利用するユーザー自身がコンテンツを生み出したり、その動きが口コミで自己増殖したりするといったことだ。
かつては、システム開発やインフラに莫大に投資し、コンテンツもお金をかけて作成し、多額の広告費をかけてマーケティングをするモデルだったことを考えると、正反対のモデルである。
この動きは日本でもすでに始まっている。はてな、グリー、フォートラベルといった会社が代表的な例だ。“LAMP”(LinuxとウェブサーバーのApache、データベースのMySQL、そしてPHPや Perl、Pythonといった開発言語環境)というオープンソースのソフトウェアやツールでシステムを構築し、ユーザーが作り出すコンテンツを口コミで増殖させていく。圧倒的なコストの低下に加え、自己増殖していくために、事業が広がるスピードが飛躍的にアップしたことも特筆すべきポイントだ。
VC 2.0のセッションで例として名前が挙がったCRMソフトウェアを開発するSugarCRMは、20カ国(言語)のバージョンをコミュニティが開発した。Salesforce.comでは8年もかかることが、SugarCRMは1年半で開発できたということであった。ローコストに加え、スピード感もWeb 2.0の特徴だと言えるだろう。
「ムーアの法則」や「ドッグイヤー」といった有名な言葉が生まれてきたが、「Web 2.0」は流行語ではなく、新しい時代のルールとして語られるべきである。実際にそれを具現化している企業は出現しているからだ。
Web 2.0時代の新生は現れるのか?:Launch Pad
初日のワークショップでは、“Launch Pad: A Dozen New Companies in One Sitting”が行われ、注目企業として選ばれた13社がプレゼンを行った。1社の持ち時間は6分間。会場は満員で立見も多く、熱気に満ち溢れていた。
登場した会社は以下の会社である。
12社のうち、私が興味を持ったのはSocialtext、Zimbra、 KnowNowの3社だ。
まず、今回、カンファレンスを通じて注目を集めたのがSocialtextのRoss Mayfield氏であった。Socialtextは、企業向けソーシャルソフトウェア(Wiki)を提供する会社だ。電子メールでは情報の分散を招いてしまうが、Wikiは全員で1つの情報を編集し、閲覧するためグループの生産性を高めるツールであるという主張だ。プレゼンの迫力そして会場からの注目度は高かった。Skypeの投資で話題のベンチャーキャピタル、Draper Fisher Jurvetson(DFJ)やSAP Venturesから資金調達し、注目を集めている。
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