どこにいても遠くの人と話ができ、文字や画像を相手に送信できる便利な道具の携帯電話は、登場当初からマナーに関する議論を巻き起こしてきた。かつては電車内における携帯電話マナーの案内が鉄道事業者ごとに異なっていたが、今回の調査対象となった地域では、案内の内容が統一されつつある。具体的には、心臓ペースメーカーなどの医療用機器を利用する乗客への配慮から優先席付近では電源を切り、優先席付近以外ではマナーモードに設定のうえ通話は遠慮するように、社内アナウンスなどで案内される場合が多いようだ。
実際のところ、こうした案内はどの程度守られているのか。「ITトレンド調査」ではCNET JapanとYahoo!リサーチ共同で、ITトレンドに関する様々な調査を行っているが、第5回目は、関東1都3県(東京/神奈川/埼玉/千葉)、関西2府2県(大阪/京都/奈良/兵庫)在住の携帯電話ユーザーを対象に、「電車内での携帯電話マナー」に関するアンケートを実施し、東西に見られる傾向を比較してみた。
【調査結果】
[優先席付近の電源ON/OFF]東西とも電源ONが大勢
優先席付近に乗車するときに携帯電話の電源を切るかという質問に対し、「はい」と回答した人の割合は、どちらの地域でも約1割程度で地域間の差はあまり見られなかった。
[マナーモード設定/車内通話]ええカッコしいの関東人?
優先席付近以外の場所に乗車する際は携帯電話をマナーモードに設定すると回答した人の割合は、関東地方では84.0%、関西地方では77.4%だった。(電源を切る人も含めて計算すると)関東では9割近くの人が、車内で着信音を鳴らさないようにしていることが分かる。
電話がかかってきた場合の対応について尋ねたところ、関西では6割近くの人が「通話する」と回答したのに対し、関東ではその数が5割を割り込んでいる。
車内ではマナーモードの設定を励行し、通話も控える傾向の強い関東人の方が「礼儀をわきまえている」と、関東出身の筆者としては言いたいところだが、優先席付近の電源ON/OFFに関しては東西間の差があまり見られなかった。結局、関東では「目に見える」マナーだけはわきまえる「ええカッコしい」が多いということなのか・・・。
[乗車中に用件を思いついたら]東西とも6割がメールを代用
乗車中誰かに電話をかけたくなった場合はどうするかという設問に対しては、どちらの地域でも優先席付近以外の場所では6割以上の人が、メールを代用して相手に用件を伝えると回答している。また、乗車中でも電話をかけると回答した人の割合は、関東が1.9%だったのに対し、関西では5.0%だった。
[迷惑に感じる他人の行為]東西を問わず「音」に反応
電車の中で近くでされたら迷惑に感じる行為を尋ねたところ、東西とも「かかってきた電話に出て長く会話を続ける」、「着信音を鳴らす」、「電話をかける」といった音に関する項目が上位を占めた。
[世間のマナー]楽観的な関東人
世間の携帯電話マナーは5年前と比べてどうなっているかという設問からは、「良くなっている」と考える人の割合は関東の方が高く、「悪くなっている」と考える人の割合は関西の方が高いことが明らかになった。
[自己評価]リアリストな関西人
最後に回答者自身の携帯電話マナーを自己評価してもらった。関東ではなんと93.9%の人が自分のマナーを「悪くはない」と評価している。一方、関西ではあわせて11.0%の人が自分のマナーを「どちらかというと悪い」または「非常に悪い」と評価している。電源を切るように指示される優先席付近でも電源を切らない人が9割近くを占めることを考えれば、どちらの地域のマナーも褒められたものではないが、関西人の方がそうした現実をよく捉えているのかもしれない。
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