試験やレポートのシーズンも終わり休みに入ると、SFCの様々なインフラがメインテナンスやリプレイスに入る。それは学生が日常的に使うコンピュータやネットワークの設備からキャンパス内の通路の補修、単位や履修の仕組み、カリキュラムなど、キャンパス内のソフトやハードから、最寄りの駅からキャンパスまでのバス交通の見直しまで多岐にわたる。時代のスピードにあわせた更新作業と、他の大学やキャンパスに比べたらまだまだ若い部類に入る発展途中のキャンパスの構築作業とが同時に進行していく様子はダイナミックに映る。
メディアセンターはキャンパスのおおよそ中心に位置している建物で、図書館、ワークステーションルーム、グループワークルームなどを持っている。授業が終わった学生が立ち寄りやすい位置と機能を持っている建物として親しまれている。この春休みに入ってメディアセンターの1Fの雰囲気が少し変わった。何台ものPowerMac G5のセットが導入されたのだ。シネマディスプレイとアルミのボディが何台も机の上に並んでおり、ヘッドフォンが接続されており、鍵盤キーボードがセットされているものもある。巨大な銀色の空間の登場は、まるでモノリスのようにも見える。
1999年ごろSFCに導入されていたコンピュータのうち、音楽編集やビデオ編集が出来るマシンはMacがほとんどだった。ビデオ提出の課題が出るとメディアセンターか、Macが40台近く導入されていて学生が自由に使うことが出来る特別教室(「Mac部屋」と呼ばれている)で作業を行う必要があった。そのため学生にとって「音楽・ビデオ編集ならMac」というイメージがあった。しかしその後導入されたほぼ全てのWindowsマシンにはデジタルビデオのインターフェイスが搭載されてビデオ編集ソフトもインストールされたため、「音楽・ビデオ編集ならMac」という印象は消えていった。多くの人が普段ノートパソコンで使っているインターフェイスと同じWindowsでビデオ編集ができるようになったと、便利さすら感じたのではないだろうか。
こうしてMacの印象が消えていった一方で、iPodはSFCのキャンパスでも人気だ。コンピュータが身近にあって情報も豊富に入ってくる関係で、学生の間で普及しているデジタルプレーヤーに占めるiPodの割合は一般的なシェアより低いかもしれない。またiTunesはWindowsでも使えるようになっているため、iPodだからMacにするという直接的な買い換えの動機には結びつかない。それでもMacに興味を持つ機会は増えてきた。SFCにも元々Macを使っていたユーザーがいて、彼らが持っているMacを見せてもらったり、実際に少し触れてみたり、話を聞いたりするようになってきた。
そうしているうちにMacへの乗り換えに踏み切る学生も出てきている。僕の身の回りで乗り換えた学生に、そのきっかけを聞いてみた。例えばある文系の学生は「とにかく文字などの画面表示がきれいで気に入ったのがきっかけだった」と言う。「コンピュータの画面でたくさんの文字を書いたり読んだりすることが多いため、Windowsの時よりも読みやすくてはかどるのではないかと思った」とのことだ。「それに加えて使い始めてからは、今だけかもしれないがキャンパスで蔓延しているメールで感染する多くのウイルスに頭を抱えることもなくなった」と話す。
コンピュータとユーザーの関係に興味があるiBookを使い始めたという学生はこう話す。「初めはWindowsとMacとでウインドウを閉じるボタンの位置が違うな、と言う程度の認識だったが、たくさん開いたソフトやウインドウの切り替えをグラフィカルにマウス操作でできるようになっていて、そこにインパクトを覚えて使い始めた。最初は同じMicrosoft Officeで作ったファイルでも上手く表示されなかったりしたことがあったが、それがきっかけになってかえって互換性や相手の環境を気にしながら使うと言うことを思い出した」
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