SFCの学生にとって電子メールは生活必需品だ。授業、課題のグループワーク、ゼミ、学生サークルなど、様々な単位に無数のメーリングリストがあり、課題の情報から飲み会のお知らせまで電子メールで送られてくる。重要な情報源である一方で、メールボックスを開かない日が1日でもあると、100通をゆうに超える未読メールが溜まってしまう。
100通のメールには、各種メーリングリストから送られてくる連絡と個人的に送られてくるメールとが混ざっており、いくら注意深くしていてもこの中から返事が必要なメールを正確に抽出するのはなかなか難しい。更に最近はスパムメールやウイルスメールの蔓延によって届くメールの数はますます増えており、ついつい見落としたり削除してしまったりして、急にメッセンジャーで催促される事もある。そこで友人へのメッセージをソーシャルネットワーキングで行おうとする動きも出始めた。
SFCの学生の間で、ソーシャルネットワーキングサービスが爆発的に普及している。orkutにはじまり、mixi(ミクシィ)、GREE(グリー)と認知されていったが、現状ではGREEが最も人気があるサイトになっている。SFCの学生は授業中、食事中、昼寝中、ゼミのミーティング中であろうが、とにかく学校にいる間は常にオンラインで、自宅でも常時接続環境を整えている人が大多数。しかもメッセンジャーでつながっているため、最初の1人がサイトに登録してからの伝搬速度も非常に速かったようだ。
GREEでは友人を紹介する機能があり、登録している友人にコメントをつける事が出来る。1回コメントを付け加えたらそのまま放っておく事が多く、会った直後に変更するかどうか、という程度の固定化された情報になりがちだが、SFCの学生の中には、相手への紹介文の末尾あるいは全てを頻繁に変更して、お互いの紹介欄で公開チャットのような使い方をしている人もいる。これは前回紹介したメッセンジャーの表示名を頻繁に変更して間接的に自分のアピールをしている様子にも似ている。
ソーシャルネットワーキングサービスの多くにはメール機能も備わっており、友人にサイト上でメッセージを送る事ができる。電子メールソフトで扱うメールとは違い、連絡としてのお知らせメールやスパムメールやウイルスメールが紛れ込まない、純粋な友人からの連絡のみが入ってくる。もしも友人がメッセンジャーでオンラインになっていなかったり、友人にまとまった文章でメッセージを送りたい場合、ソーシャルネットワーキングサービスでメッセージを送る方が確実に読んでもらえる可能性が高い。
日常的なコミュニケーションツールの地位を得つつあるソーシャルネットワーキングサービスは、ゼミの名簿を作るツールとしても使われ始めた。ゼミのウェブサイトと言えば、デジタルキャンパスであるSFCであってもなかなかお粗末なものが多い。学期のはじめにウェブ担当者を決めて作り始めても、名簿を作る作業でプロフィール情報や写真が集まらず挫折するパターン。その残骸が多く見られる。
担当者制の限界を見出したゼミでは、BlogやWikiを活用してメンバーがこぞって更新できるウェブサイトを作成しているが、その1つの手段として、ソーシャルネットワーキングでゼミの名簿を作るアイディアが出てきた。ソーシャルネットワーキングのグループ(コミュニティ)機能でゼミのグループを作って、メンバーに参加してもらう。それだけでゼミのメンバーリストが出来上がるのだ。
この方法によって今まで担当者が集めきれなかった、Blogの最新記事や他の友人の情報もメンバー間で見る事ができ、メンバーが考えている事をより多く共有して新たな研究のアイディアを出したり、意外な人の繋がりに沸いたりと、ゼミ内が更にホットな状態になる効果もある。現役のゼミ生だけでなく卒業生も参加してくると、ゼミ生にとっては縦の繋がりから情報が得られるし、卒業生にとっては新しい大学への関わり方になるかも知れない。
様々な利点はあるが、一番の利点は、各自のプロフィールや写真を常に自分で更新してもらうことだ。確実に自己紹介や写真が集まるようになるし、夏場になっても冬に撮影したマフラーと帽子の写真のままになっている事はなくなるはずだ。
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