グーグルのラジオ広告システム--「年内にもベータ公開」の予想

坂和敏(編集部)2006年11月29日 16時59分

 ZDNet.comにある「Digital Micro-Markets」ブログに、Googleの進めるラジオ広告プロジェクトに関する興味深いエントリーが出ていた。「Google Radio EXCLUSIVE: Audio Ads in pictures!」というこの記事について少し紹介したい。

 ネット以外の媒体への進出をねらうGoogleが、ラジオ広告の販売などを行うdMarc Broadcastingを今年初めに買収したことはすでにお伝えした通り(「グーグル、ラジオ広告にも進出へ--ビジネス多角化を加速」)。この買収をもとに、その後ラジオ向けの広告販売/配信プラットフォームの開発が進められているはずだが、これまでのところ表立って大きな動きは伝えられていないように思う。

 だが、Googleではこの夏からGoogle Audio Adsのテストを進めており、上記のブログにはGoogleの広報担当Michael Mayzelのコメントとして「計画は予定通り進んでおり、年内には市場に正式に導入する」との言葉が紹介されている。

 さらにこのブログには、このシステムがどのように広告主とラジオ局とを結びつけるかを説明した概念図(?)や、ラジオ広告配信の仕組みを記した図表も紹介されている。

 「AdSenseのラジオ版」といえそうなこのシステムに関する資料の内容をかいつまんで紹介すると:

  • Googleは、自動化されたプラットフォームを使って広告を配信し、リアルタイムで(反応を伝える)情報を広告主に提供する。
  • 現在800局を超えるラジオ局が参加を予定しており(契約調印済み)、Googleでは将来的に5000局あまりを参加させたい意向。
  • これにより主要25市場のうち、19箇所(=全米の約87%)をカバー
  • 週あたりのインプレッション数は3億以上

 また、とくに配信/計測の仕組みについては以下のようになるらしい。

  1. 各ラジオ局の持つ広告在庫管理システムに、Google側のシステムがアクセスし、広告主の選考基準にマッチした在庫(広告放送枠)を探し出す。
  2. 広告主のリクエストに応じて、Googleのシステムがマッチする広告と在庫を組み合わせる。
  3. Googleのシステムがラジオ局側のシステムに自動的に発注をかけ、在庫を予約する。

 ただし、この説明ではウェブでのクリックスルーに相当するデータの取得方法はわからない。当面はインプレッションベースで進むのだろうか。

 GoogleのCEO、Eric Schmidtはこれまで公の席でなんどか「GPSを利用して、非常にターゲットを絞り込んだパーソナライズされた広告を、車載ラジオに向けて提供する」というアイデアを語ってきており、具体的な例として「クルマでドライブしていて、洋服屋の前を通り過ぎると、『あなたにはパンツ(ズボン)が必要です("He nees a pair of pants")』というパーソナライズされた広告がラジオから流れ、次にある洋服屋への道順を案内する」というシナリオを紹介しているそうだ(しかも、まるで映画「トータル・リコール」か「マイノリティ・リポート」に出てきたようなこの広告配信の仕組みが、なんと数年後には実現できると予想しているという)。正式発表後もしばらくは米国限定となりそうなこのGoogleのラジオ広告プラットフォームだが、そうした事柄も考え合わせると、日本のユーザーにとっても「要チェック項目」となるかもしれない。

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