wikiベースのアプリを提供する「JotSpot」を買収し、オンライン・コラボレーションツールの領域でも着々と地歩を固めつつあるGoogleだが、まだ気を抜くには早いのかもしれない。
先週ブログでお知らせしたScrybeのベータ版が公開された。この新しいコラボレーションアプリについてのファーストインプレッションをCNETのRafe Needlemanが記しているので少し紹介しよう(デモビデオをまだ観ていない方は、是非先に見てほしい)。なお、Scrybeのウェブサイトでは現在もベータテスターの登録を受付中だが、当方にはまだ招待状が届いていないため、実際に試すことはできていない。
ScrybeはFlashベースのシステムで、カレンダーのほか、ブックマークやウェブクリッピングなどの諸機能が盛り込まれるとうたわれている。ただし現時点ではカレンダー以外の機能は未実装。もっとも、このオンラインカレンダーは出来ばえがかなりよく、デモビデオにあるのとほとんど同じくらい「動きが滑らかで直感的に使える(fluid and intuitive)」とNeedlemanはコメントしている。「Macintoshと似た使用感」("It's like using a Macintosh")というたとえが本当であれば、使い勝手についてかなり期待できよう。
さらにオフライン状態でも使えるのもScrybeの特徴のひとつだ。外回りなど移動が多いユーザーにとって、これが大きな違いを生むことは言うまでもない。さらに印刷機能も気が利いているとNeedlemanはいう。
Flashベースのオンラインアプリやデスクトップには、往々にして反応速度の遅さなど特有の欠点も見られるが、Scrybeはこの点もしっかりクリアしているようだ。Scrybeには「Flash臭さがない("Scrybe doesn't feel like a Flash application")」だけでなく、たとえばマウスの右ボタンを押すとコンテクストメニューがポップアップするといった点まで(ローカルマシンにインストールして使う)通常のアプリの機能が再現されているという。一方ブラウザ画面を拡大もしくは縮小させてもScrybeのウインドウが追従しないところや、ブラウザのバックボタンが効かないといった部分は、Needlemanにとってはマイナス点のようだ。
Scrybeベータ版に対しておおむね好ましい評価を与えているNeedlemanだが、それでも先の見通しについてはいささか懐疑的だ。「素晴らしいUIだけでは(Outlookや Google Calendarなど)他のアプリに慣れたユーザーを乗り換えさせるには不十分」というのがその理由だが、この点については人によって意見の分かれるところだろう。実際、使い勝手の点で比較的優れているとされるGoogle Calendarでも、入力済みの情報(予定)を変更する時などには、予想と違った動きをすることも少なくない。多機能化よりもむしろ使い勝手を重視する戦略は、今後もしばらくは有効ではないだろうか。
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