想像力を刺激する「時間軸」をめぐる試み

坂和敏(編集部)2006年07月19日 00時01分

 先週末にNews.com Alfa BlogのRafe Needlemanがちょっと面白い2つのプロジェクトを取り上げていましたので、今日はそれを紹介します。

 まず1つめは、「SIMILE Timeline project」というものです(ちなみに「SIMILE」とはSemantic Interoperability of Metadata and Information in unLike Environmentsの略だそうです)。このプロジェクトは、W3C、MIT Libraries、MIT CSAILの共同研究で、The Andrew W. Mellon Foundationの支援の下に複数のプロジェクトが進められており、「Timeline」はその1つということです。

 さて、このSIMILE Timeline projectのどこがスゴイかは「Live Examples」にならぶいくつかの例を見ていただければ一目瞭然でしょう。とくに「JFK Assassination timeline」に示された関連する出来事の膨大な記述や、Wikipediaにあるデータを引用して時間軸上に並べ替えたChristianity Timelineなどに、その面白みや有用性がよく現れていると思います。

 もう一つの「dandelife」は、「ウェブ上に自叙伝をつくろう」という趣旨のサービスで、要はブログのエントリーを時間軸上に並べてみるもの、と理解できそうです。機能的には、同サイト上で直接「Create」して入力するコメントのほか、Typepadにあるエントリや、Flickrにおいた画像、YouTubeで公開した動画のインポートができるようになっています。

 Alpha blogのNeedlemanは、「いったい自分の生涯などに誰が興味を示すのか」などと疑問を呈しながらも、「タイムラインの作成プロセスは簡単で良い」とコメントしています。しかし、使い勝手についていえば、コメントの入力ひとつとっても「Google Calendar」のように任意の箇所でバルーンが出てきてそこに記入できる(「Add a story」というページに切り替わる必要無しに)ようになっていてくれるとさらに便利なはずですし、また大きく時代をさかのぼろうとする時に、5年刻みでいちいちクリックしていかなくてはならない、というのはちょっと厳しいものがあるように思いました。

 さて、ここからが本題です。このサイトについてはもちろん自分の暮らしを記録してもいいのですが、それよりも、複数の物事を時間軸に沿ってならべて、その関連を把握したいときなどにもっと便利かと思います。たとえば、ミュージシャンでも映画監督でも良いですが・・・私の場合だとMiles DavisJohn Coltraneのディスコグラフィー--それぞれ詳細なものがWikipediaには上がっていますが--を時間軸上に並列させてみる、とか。さらに、個別のアルバムについてユーザーがコメントを書き込めたり、Amazonからとってきたデータを統合できたりするととても面白くなるか、と。

 時間軸という切り口で整理・理解するのが相応しい情報がたくさんあることはあらためて言うまでもありません。ただし、これまではそうしたものの多くが紙など静的な媒体の上に置かれてきました。それに対し、SIMILE Timelineの例が示すような動的な情報の取り扱いが可能となり、さらにdandefileが示すソーシャルなコンテンツ作成が現実のものとなったいま、この「時間軸」による情報整理の可能性には無数の用途があるのではないでしょうか。

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