いわゆるウェブメールをはじめ、「Google Spreadsheet」や「Writely」など、これまでデスクトップ上で動いていたものがオンライン上で再現されてもあまり驚かなくなった今日この頃。ですが、最近MITを卒業した4人の若者が、「YouOS」というウェブOSをつくってしまったという話にはちょっとびっくり・・・というよりも、ある種の不思議な感覚にとらわれました。
このYouOSを使うのに必要なのは、基本的にブラウザだけ。そして、同サイトへアクセスして自分のアカウントにログインすると、ブラウザの画面内にもうひとつのデスクトップが展開されます。左上端には「YOS Stuff」というWindowsの「スタートボタン」に相当するものがあり、これをクリックすると、チャットやメール用ソフト、リッチテキストエディター、ファイルブラウザー、スティッキーズ、FlickrやYouTube専用のRSSリーダー、さらにウェブブラウザー(!)まで選べるようになっています。CNET News.comのブログによると、現在すでに200種類を超えるウェブアプリケーションが開発されているとか。これらのアプリは、「YOS Stuff」のメニューバーにある「Add/Remove Apps」から見つけ出して追加することが可能です。なお、そのなかにはGoogle Spreadsheetを呼び出して使えるものもありました。
ためしにいくつかのアプリを試してみましたが、まずリッチテキストエディターは問題なく日本語も通りました(これにはPDF形式での出力機能も付いています)。また、ウェブブラウザも機能的には至ってシンプルですが、そのせいか或いはローカルPCまでデータをダウンロードしてくる手間がいらないせいか、かなり軽快にウェブページを読み込んでいました。
ふだんから会社のほかに、自宅でも作業をすることの多い仕事柄、del.icio.usのようなウェブブックマークなど、いくつかのオンラインアプリケーションの利便性を痛感して愛用していますが、このYouOSのような環境なら、さらに自分用にカスタマイズを施したインプッドメソッドや、スティッキーズに残したメモなどまで、何も持たずに自分の作業環境を持ち歩けることになり、いっそう利便性が高まるはずと思えます。実際に、いったんあるPCで行っていた作業を中断して、その後違う場所にある別のPCからアクセスし直したとしても、中断前の作業環境が保持されるなどのメリットが考えられます。
現時点では、アプリによって動作が緩慢であったり、あるいは何重にも重なりあうウィンドウが時に煩わしかったりと、まだまだ生まれて間もない技術らしい欠点はみられます。そして、どこまでをローカルで処理し、どこからをオンラインで作業すべきかについて、自分のなかでまだこれといった見極めがついていないのも事実です。それでも、このYouOSや他のウェブアプリケーションの指し示す方向性が興味深いことはほぼ間違いのないところでしょう。
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