すべてのことには周期性がある。株式市場から日常生活にまで、周期性は見て取れる。マクロレベルの経済にも、ミクロレベルの昆虫学にも周期性はある。テクノロジも例外ではない。技術にも上り下りがあり、大企業や新興企業、そしてベンチャーキャピタリストの感情をジェットコースターのように振り回す。
周期変動があることは誰もが知っている。知らないのは、特定の周期がどのくらい長く続くかだ。われわれはパターンについて知っているが、細かいことは分からない。何人かの人だけが、正確にその潮がいつ変わるかを予測できる(予測には科学が使われることもあるが、たいていは運が使われる)。残りのほとんどの人は、起こってしばらくしてから変動に気付く。
今では、2003年初頭以降続いていた直近の技術の波が既にピークを迎えたことは明らかだ。われわれは消化局面に入ったのだ。消化局面は、バブル崩壊の局面でも後退局面でもない。これまでのことを省みて統合し、最近の技術を理解し、それらを組み合わせる時期だ。この局面の結果として、われわれが下降を続けるか、それとも反発してまた上昇し始めるかが決まる。これを決める要素は、われわれが作り出した技術の本当の価値ということになるだろう。
現在の技術市場は、ソーシャルウェブの爆発の結果だ。これは、少数の企業と特定分野から始まり、急速に何千もの新興企業とニッチ市場に広がった。この爆発を推し進めた重要な要素は次のようなものだ。
これらの促進要因を組み直したことで、新たなウェブの時代の強力な基盤が生まれた。情報共有の持つ力と価値を目の当たりにして、人は新しいオープンな相互作用の方法を取り入れた。そしてソーシャルネットワークやブログによるフィードバックループが、より多くのコンテンツを生み出していった。初期導入者の間で新しいテクノロジが人気を得て素早く広がったことが、それらのアイデアが広がるうえで強固な基盤となった。
最近のイノベーション局面で作り出されたもののうち最大のものは、ソーシャルネットワークだ。ソーシャルネットワークは異なる姿と方式をとっている。MySpaceやFacebookなどの汎用的なネットワークもあれば、専門分野に特化したYouTube(動画)、Flickr(写真)、del.icio.us(ブックマーク)、Flixster(映画)、Last.fm(音楽)、MyBlogLog(ブログ)、Twitter(チャット)などのウェブサイトは、コンテンツを通じて人をつなぐことに注力した。各専門分野では、多くの中から1つか2つの強い勝者が現れた。
初期の成功が呼び水となって、起業家やベンチャーキャピタリストが大挙してより多くの新興企業の立ち上げに走った。一部は既存ウェブサイトの見え透いたクローンに過ぎなかったが、一部は個性がある存在だった。とにかく、2006年の終わりまでにあまりにも多くのものが発表され、立ち上げられたために、起こっていることを把握するのはほぼ不可能な状態だった。2007年になると事態は沈静化し、主要な技術ブログのニュースも少しスピードが落ちた。これが退却のときとなり、われわれは深呼吸をして消化局面に入った。
消化局面のポイントは考えることだ。企業が作り出す価値がそこに投入される資金と等しいかそれよりも大きければ、問題はない。成長を続けることが出来る。もし発明した技術が数千人ではなく数百万人に使われているようであれば、問題はない。成長を続けることが出来る。もし、新しいツールがそれだけでもうまく動作し、他のものと一緒に使われてわれわれのオンライン生活を向上させるものであれば、素晴らしい。
しかし、これらの質問の一部に対する答えがノーであれば、立ち止まる必要がある。これらの質問すべてに対する答えがノーなら、一歩後ろに下がる必要があるかもしれない。最悪のシナリオでは、これはわれわれの歩みを遅くし、後退させてしまうことだってある。これは好ましくないと思うだろうが、周期変動はそういうふうに働くものだ。
では、価値はどのように評価したらよいだろうか。究極的な尺度は金銭だろう。新しいツール群が、存在を正当化できるだけの金銭を生むことが出来るかということだ。表面的には、この答えはイエスだ。つまるところこれらのツール全体の社会的要素は非常に強力で、多くの人がこれらのツールを好み、これらのツールを使うのに時間を費やしているように見える。実際には、物事はそう簡単ではない。Facebookのような現象を収益化することは単純ではなく、Diggのようなサイトではさらに難しい。
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