情報の洪水で注意力は細切れに--ソフトウェアでどう支援できるか - (page 2)

文:Alex Iskold 翻訳校正:吉井美有2007年07月10日 08時00分

繰り返し:新しい働き方

 深い眠りについているときに起こされるのは嫌なものだ。問題に深く取り組むことが出来ないため、われわれはそもそも問題に深く入り込まないことを学びつつある。その代わりに、問題を反復によって解決する。最終的な段階までの戦略をまとめて立てることはせず、いい選択肢を選んで試してみて、フィードバックを得ようとする。フィードバックに基づいて選択肢を修正し、そして繰り返す。以前は、われわれはもっと深く物事を考えていたのかもしれない。しかし今日では、われわれは熟慮する代わりに素早い繰り返しを行う。

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 これは、必ずしも悪いことではない。繰り返しは、最良の解にたどり着くための非常に強力なアルゴリズムだ。数学と計算機科学では、厳密な式に当てはまらない問題を繰り返しアルゴリズムで解くことが出来ることが知られている。その性質から、繰り返しは順応への鍵だ。この方法は非常に長い間うまく働いてきた。今では、繰り返しは日常生活の中に永久に組み込まれてしまったようだ。

 しかし、実際に大きなマイナス面もある。繰り返しにはより多くのエネルギーを必要とする。頻繁に文脈を切り替え、ペースを速めることは、ゆっくり計画を立て、じっくり考えるのよりも大変だ。問題は、そのような早回しのモードをいつまで続けられるかということだ。われわれは昔の人よりも速く燃え尽きてしまうのだろうか。それはありそうな事のように思える。

繰り返しモードのためのソフトウェア

 映画「メメント」では、主人公が記憶喪失になる。彼は、数時間分までしか自分の状態を覚えていられない。これを乗り切るために、主人公は自分に手がかりやノートを残す。自分の体に刻みつける場合も多く、これによって、前回自分が何を考えていたかを知ることが出来る。この映画は、われわれの脳の灰白質に問題が起こると何が起きるのかを、劇的な、心を乱すような形で描いているが、これが実はわれわれの現在の姿を描いたものだということを意識せずにはいられない。もし常に繰り返しを行い、行動を変えていくとすれば、どうやって状態を維持していけばよいのだろうか。

 この繰り返しモードを支えるために設計された、カレンダー、電子メール、プロジェクト管理がすべて1つになったツールが必要だ。37signalsのBasecampは、おそらくそのようなソフトウェアに向けた最初の一歩だと言えるだろう。これは、軽快でアジャイルなプロジェクト管理ソフトウェアで、プロジェクト管理の基本概念を捉えており、邪魔にならないようになっている。しかし、Basecampはいくつかの問題を残している。例えば、カレンダーに載せる仕事リストには優先順位を付ける機能がないし、電子メールを直接的にタスクに組み込む手段もない。Lachlan Hardyが最近分析したところによると、TODOISTはここでわれわれが必要と考えるものに近い。仕事を日付と優先順位に分解する。しかし、現在の実装は、スキルレベルの高い、キーボードを中心に利用するユーザーを狙っている。

 必要なのは、われわれの手順を理解し、今していることを理解し、いつ仕事を変更し、いつそれを終えるかを理解するツール、アシスタントだ。このツールはわれわれが仕事をやりくりし、文脈を思い出し、情報の格納・取り出しを行うのを出来る限り支援し、活動を助けてくれるものでなければならない。これは人工頭脳ではないが、基本的にわれわれがやりくりしようとする対象とその手段とを結びつけるものだ。

結論

 記事の中で、Marc Orchant氏は、われわれは時々ネットワークから離れてコントロールと正気を取り戻す必要があると提案している。彼は次のように述べている。

 「自分のアテンションに対するコントロールを取り戻し、気を散らすものを閉め出すために出来ることは多い。しかし、一番単純なのは、取り組んでいるプロジェクトの警告やアラームを切ってしまうことだ。単純だとは言ったが、簡単だとは言っていない」

 明らかにわれわれは時折こうしている。家族や友達と会おうというときなどだ。ネットワークはますますわれわれを追いかけてくるが、戻る道はない。情報の量が減ることはなく、常に増えていく一方だろう。もっともっと増えるのは確実だ。この変化に備えるのが速ければ速いほど、この新しい世界をスムーズに受け入れることが出来る。継続的な部分的アテンションの時代は今後去ることはない。

 読者はどのようにこれを処理しているだろうか?コントロールする手法について、教えてもらいたい。どんなメソッドやツールを使っているだろうか。

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