国際的なウェブアプリケーションのひとつとして、ここでは韓国のサービスを紹介しよう。情報を提供してくれたのはChang W. Kim氏で、Changは「Web 2.0 Asia」というブログを運営している。
韓国はさまざまな面でインターネットの先を行っている。韓国は家庭へのブロードバンドインターネットの普及率が世界一で、きわめて革新的なウェブアプリケーションもいくつかある(ソーシャルネットワークサービスのCyworldなど)。
Changによれば、韓国ではWeb 2.0的な動きの多くはNAVERやDaum、Nate.com(Cyworldも展開しているSK Communicationsが運営している)、Yahoo Koreaなどのインターネット関連の大手事業者によって引き起こされているという。ただ、Google Koreaはこの市場ではあまり影響力がなく、地元の検索サービス事業者であるNAVERが優勢だという。
ブログの記事で、Changは理由をこのように説明している。
「NAVERの成功は、韓国が非常に均質な社会であり人々の興味の対象が共通していることに大きく起因していると思う。社会というものはそれぞれミームや時代思潮を持っているが、韓国は少し変わっているのではないだろうか。4800万人以上の人間が小さな国に押し込められ、非常に性能の高いブロードバンド環境とモバイルネットワークを持っている。これは興味深い(そして、少し危険でさえある)組み合わせだ」
韓国の大企業はすべからく一般的なWeb/media 2.0サービス--ブログ、写真管理ツール、(YouTube風の)オンラインビデオサイト、ソーシャルネットワーキング、RSS集約サービスなどを提供しているようだとChangは言う。欧米と似たような状況だ。
ただChangは、大企業の提供するサービスの中で、最も目立つのは明らかにCyworldだとしている。CyworldはMyspaceと同様のソーシャルネットワーキングの機能を5年も前から提供している。Cyworldは「閉じたサービス」だと批判されたこともあったが、今ではオープンになりつつある。Changは自分のブログで、Cyworldの新しい試みについても書いている。これらは、韓国の外ではあまり知られていない(参考 1 2)。
特におもしろいのが下記のような特徴だ。
統計上、Cyworldは支配的だ。Wikipediaには次のように書かれている。
「2005年9月の時点で、韓国人の20代人口の90%および韓国全人口の25%が、Cyworldのユーザー登録をしている。1日あたりのユニークビジター数は約2000万」
Cyworldは最近アメリカでも事業を開始したが、TechcrunchのMarshall Kirkpatrick氏から早々に手厳しい評価を受けた。Changは自分のブログで、Cyworld USはうまくいかないかも知れないが、親会社は十分な資金を持っており、アメリカ向けサービスの第2弾(コードネームC2)を送り出すためにかなり力を入れているようだと述べている。わたしには、Cyworldは文化的に独特の製品であるように思われ、これがアメリカ(さらにその先のイギリス、オーストラリアなど)の市場で成功しない理由かもしれない。
ただ、わたしが理解した限りではCyworldはきわめて革新的で、(Marshallとは意見が違って)わたしは欧米の未来のソーシャルネットワークにおいてもアバターが大きな役割を果たすと考えている。MarshallはTechcrunchの記事でアバターについては否定的だった。彼はコメントで「わたしには韓国の誰かをかばうようなことはできない。わたしはアバターは馬鹿げていると思う。わたしはこれ全体が馬鹿げたことだと思う」と述べている。
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