「勝負は試合が終わるまで分からない」という、往年のメジャーリーガーYogi Berra選手の洞察に満ちた名文句を、HD DVD陣営は声の限りに繰り返している。彼らは今でも、高画質の次世代ビデオディスク規格を巡る戦いでBlu-rayに勝ちたいと願っているのだ。
しかし、この名文句の含みを、HD DVD陣営はほとんど理解していない。つまり、私なりに拡大解釈するなら、「勝負がついたら、試合を終わらせるべきだ」ということだ。
Warner Bros. EntertainmentがBlu-rayフォーマットに一本化するという決定は、非常に混乱した問題の解決に役立つかもしれない。ホームビデオ業界最大手のWarnerが両陣営に二股をかけていただけに、これは大きなニュースだ。私の計算では、これでハリウッドの大手映画会社7社のうち5社がBlu-rayを支持していることになる。私の予想では、大半の小売業者もこの動きに追随するだろう。
まだ答えが出ていない疑問は、あとどれくらいの期間、HD DVD陣営があきらめるまで待たなければならないのか、というものだ。
こういうことは、必要以上にだらだらと長引くのが普通だ。今回もそうなりそうな気配で、HD DVD規格の技術開発で中心的な役割を果たした東芝は、撤退の意思表示を一切行っていない。Toshiba Americaで家電を扱う子会社のプレジデント兼最高経営責任者である小坂明生氏は、白旗を掲げる準備を整えていないようだ。
小坂氏の言葉を信じるならば、彼のチームはこの先まだ勝利を収めるという。私は、黒騎士がアーサー王に手足を切り落とされながらもあきらめようとしなかった、コメディ映画「モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル」の爆笑シーンを思い出した。「ただの軽傷だ」と黒騎士は言う。
たぶん、Warnerの一件は軽傷にすぎないのかもしれない。あるいは、それ以上の痛手かもしれない。
小坂氏がいつものくじけない姿勢を見せている理由は理解できる。どんな規格戦争であれ、参戦する企業の社運は、勝敗に大きく左右される。今回の戦いも同様で、勝者たちは、巨額の売り上げを約束する「器」を手に入れるのだ。
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