韓国では過去10年間インターネットビジネスが持続的に拡大した。バナー広告のほか検索連動型広告、コンテンツの月額課金、アバターアイテムの有料販売などのさまざまな収益モデルが登場した。そして、その歴史の中心には常にソーシャルネットワーキングサービス(SNS)があり、コミュニティ第1世代から韓国インターネット業界の先導役を果たしてきた。
2007年、日本で業界1位のSNSであるmixiの会員数が1000万人を超えた。現在韓国SNS業界1位のCyworld(サイワールド)の会員数が1000万人を突破したのは2004年で、2007年2月には2000万人を突破した。韓国の総人口が約4800万人であることを考えると膨大な数字である。実に全人口の半数近く、24歳から29歳の層では10人に9人がCyworldの会員であるという。
現在の市場占有率から、mixiはまさに日本のCyworldであると言っても過言ではないだろう。多くの人が、現在業界1位のmixiを超えるSNSはこの先出てこないだろうと予測しているが、実際はそうではないかもしれない。
多くの産業のビジネスモデルにおいて日本の企業やサービスをまねている韓国だが、ITビジネスにおいては国家の政策やインフラの早期普及によって、日本より5年ほど先を進んでいると言われている。つまり、彼らの成功と失敗をベンチマークすることで多くのことを学び、ビジネスチャンスをつかむことができるのではないか。
ソフトバンクが昔から韓国のベンチャー企業を支援し続け、韓国から多くのITビジネスのヒントを得てきたことを考えると、学ぶべきところは多いと言えるのだろう。
現在日本SNS業界1位のmixiは、実は韓国のコミュニティ第1世代において業界1位であったDaum Cafe(ダウム カフェ)と類似した特徴を見せている。
Daum Cafeは、1997年に韓国初のインターネット無料メールサービスであるHanmailを提供したDaum Communicationsのサービスだ。Hanmailは専門知識がなくてもウェブでメールをやりとりできるというコンセプトにより爆発的な人気を集め、多くのユーザーを確保した。その後、1999年に韓国初のネットコミュニティサイトである「Daum Cafe」をオープンし、インターネットコミュニティブームを巻き起こしたのである。2000年3月には会員数が900万人に達した。
Daum Cafeの最大の成功要因は、何といっても先行者利益である。「Right Time Right There!(まさに必要とされる時にそこにあった!)」と解釈できるであろう。短いが意味の深い言葉だ。ユーザーがコミュニティを必要とした時、市場の先頭にDaum Cafeがあった。そのため、短期間で数多くのユーザーを獲得した。
当時の韓国では、多くの人がこのコミュニティサイトの会員となり、サイトを通じて様々な情報を収集し、バーチャルの世界だけに限らずリアルライフでも数多くの同好会を頻繁に開き、新しい出会いや人脈形成の場として活用していた。
しかし、業界1位の勢いをずっと維持し続けるかのように見えたDaum Cafeは、2000年に設立されたFreechal(フリーチェル)の出現によりその成長と人気に歯止めがかかった。Freechalはサイトオープン後、テレビ、ラジオ、交通広告などで様々なオフラインマーケティングを行う一方、持続的にコミュニティサービスをアップデートすることにより、サービススタートから2年弱で会員数1000万人(2002年4月)、1日訪問者数180万人といった世界最大規模のコミュニティポータルにまで成長した。
では、Freechalが短期間のうちに、それまで市場を占有していたDaum Cafeを脅かすほどのコミュニティサイトに成長できた理由は一体何なのであろうか。
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