「New Industry Leaders Summit 2005 Autumn」(NILS)が、11月21日〜22日にフェニックス・シーガイア・リゾート(宮崎シーガイア)で開催された。NILSとはITやインターネット、モバイル、デジタルコンテンツ産業の中心で活躍される経営者、経営幹部、ベンチャーキャピタリストなど、この分野のトップインサイダーである約160名の方々を招いて行われるイベントだ。今後数週間にわたってその内容をレポートしていく。
初日の最初のセッションは、「Web 2.0時代の経営戦略」と題して、GMOインターネットの代表取締役会長兼社長である熊谷正寿氏、ドリコムの代表取締役である内藤裕紀氏、ネットエイジグループの代表取締役社長である西川 潔氏をスピーカーとして、グロービス・キャピタル・パートナーズのパートナーである小林 雅氏がモデレーターを務めて進められた。
まずは、モデレーターを含めた4人のWeb 2.0に対する考え方や取り組みが以下のように順に語られた。その内容を話したまま取り上げよう。
小林氏:Web 2.0は10月5日から7日までサンフランシスコのArgent Hotelで開催された「Web 2.0 Conference 2005」に行ってきましたが(関連記事)、何を言っているかというと、新しいトレンドを説明しているに過ぎず、米国だったらWeb 2.0という新しいものはこれだと雄叫びをあげていると言った方が正しいと思います。日本だと、2.0というよりは、たとえば20歳代の経営者の台頭というような違った表現では出てきているが、現象としては新しい取り組みも出てきているのかなあと思っています。
Web 2.0時代における人、モノ、金のポイント
熊谷氏:GMOインターネットグループとしてWeb 2.0の展望を話しますと、まず、一言でWeb 2.0に対応していない、あるいはWeb 2.0化、Web 2.0はもちろん概念ですから、Web 2.0に対応したサービスを展開していかないネット企業というのは、5年後10年後にはないのではないかと思っております。強くその流れについて意識しています。まず、これが大前提です。
「グループ全体をWeb 2.0化するのに経営革新している」と、GMOインターネットの熊谷氏 |
なぜ、2.0を意識しながら経営しなければならないかというと、たぶんWeb 2.0を初めて聞いたときにかならず検索してみなさん勉強なさったと思いますが、私としてはTim O'Reilly氏の論文「Web 2.0:次世代ソフトウェアのデザインパターンとビジネスモデル」(原題は「What is Web 2.0」)に何か条か出ていて、Web 2.0の会社やサービスが対比されていますが、けっしてそのサービスを提供している経営者がWeb 2.0になろうとして作ったサービスではないでしょう。おそらく、絶え間ない経営革新努力と顧客のニーズに答えるということからサービスの改良、改善を重ねていって、競合に勝たんとする努力が今のサービスを生み出して、それがムーブメントとなってWeb 2.0というような概念をもたらしていると思っています。
その改善の裏にあるのが、AJAXなどの新しいテクノロジー、あるいは同じサービスを実現するのに必要な資金がまったく違うような産業の変革、さらにはインターネットをあたりまえにこなしているユーザーの台頭などがあるでしょう。それらが相まってすばらしいサービスができていて、私たちもユーザーが喜ぶからそれを生み出そうとする努力を日夜続けていて、その結果としてWeb 2.0を支えているいまのインターネットの流れではないでしょうか。すなわち、この流れに沿って経営革新していかないと、それこそ5年後はありません。Web1.0の会社という烙印を押されてしまう状況になるでしょう。私たちは、それでグループ全体をWeb 2.0化するためにやっている経営のポイントを大きく3つに分けてご説明します。
人、お金、モノという経営の要素をそれぞれ説明します。まず人の点では、27歳の内藤さんをはじめとして、Web 2.0の主役は20代とか30代前半の若い人たち。その人たちがサービス開発の主役になっているので、僕は哀しいかなもう42歳でございますので、若い人たちに権限委譲し、発想をトップダウンではなくてボトムアップ方式ですべて任せています。こうした仕組みをグループの中にプログラムしています。大幅な権限委譲、若手に任せて進めていくというのが人の部分の考え方と努力です。
次に、お金の点ですが、GMOインターネットのグループ会社でファンド投資事業を手がけるGMO VenturePartnersを設立(関連記事)して、そこで上限50億円の「ブログビジネスファンド」を設定した。世の中にはWeb 2.0という言葉はまだ通じないので、ブログビジネスという名前を付けました。ようするに、Web 2.0の社内外の会社に投資をするファンドです。そういう意味では、GMOグループとしてWeb 2.0の時代にやっているお金の動きです。
最後にモノの動きですが、サービスをたとえば私ども数百万人単位でご利用いただいているブログだったり、あるいはキヌガサといったソーシャルネットワーキングサービスだったり、Web 2.0っぽいサービスを提供しているが、こうしたサービスは目先の業績ばかりを追いかけずに、長い目で成長に祈りを捧げている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス