検索サービス展開の鍵は「感覚的探索」
さらに内藤氏は、ドリコムのビジネス展望を紹介。まず、1990年代後半から始まったネットバブルの最中に起業したインターネットベンチャーの中で、現在も成功を収めている企業の共通点として「市場シェアと営業力があること」に触れ、ドリコム自身がこれからシェアを取りに行くには資本や営業力が足りないという自認から、「技術オリエンテッド」の道を選んだと語った。R&Dによる競合優位性を背景に、市場シェアを持つ/強い営業力のあるパートナーとタッグを組んだサービスの提供に努めている。
ドリコムが考える事業の柱は、大きく分けて「Blog事業」「サーチエンジン事業」の2つだ。Blog事業ではパブリッシングツールという点に着目した、使いやすいインターフェース技術の提供、ドリコムオフィスが実現する業務の効率化によるコストカットと情報共有による業績アップ、CMSとBlogの融合が実現する、効率的なウェブページの作成/運営の詳細を紹介した。
サーチエンジン事業の紹介では、核となる技術「マトリックスクラスタリング」の特徴を語った。「大手Eコマースサイトの検索処理スピードに比べ、ドリコムが提供するサーチエンジン技術は約1000倍の処理スピードを誇る」(内藤氏)としながら、大規模疎行列から密な部分行列を高速に抽出するという仕組みを具体的に解説。「基準行・基準列との内積をとり、小さいものを取り除いていく」というやり方で、コンテンツにマッチした広告の抽出や、類似ニュースの抽出/提供を行っているという。さらに、ユーザーが閲覧したページと他のユーザーをふるいにかけると、行動履歴からパーソナライズとリコメンドへとアプローチできるという紹介もなされた。
「言語の検索サービスはキーワードで検索するのが基本サービスですが、キーワードを並べただけでは、目的の情報へ近づくのに限界があります。例えば、好みの女性のタイプを伝えようと『髪が長い』『口が大きい』『卵形の輪郭』・・・などといくら言ってみたところで、具体的にイメージをつかむことはできません。しかし、『芸能人の○○に似ている人』のように、『曖昧に探す』ことを用いれば可能になるという点において、ドリコムではマトリックスクラスタリング技術を使った研究開発を進めているのです」(内藤氏)
キーワード検索結果のページに表示される関連ページをたどることで、自分が本当に欲しい情報を見つけやすくなる「感覚的探索インターフェース」は、既にNews & Blog Searchでも導入されている。今後の具体的な展開としては、「カテゴリを絞った検索サービスへの広告」を考えているという。例えば、求人検索サービスで企業名をキーワード検索した人が求めているのは、「その企業の商品情報」でなく「その企業で働くにはどうすればいいか」という情報であることがほとんどだ。そういったニーズに合わせた検索結果の表示、そして広告の展開が今後の鍵だと、内藤氏は語った。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス