「New Industry Leaders Summit 2004」の2日目、「セッション3-a」では、ドリコムの代表取締役である内藤氏が同社の事業戦略を解説。Blog市場全体の現状と今後の展開について語った。
1998年、京都大学経済学部入学、現在在学中。2001年11月、ドリコムを設立。2003年4月には株式会社に組織変更し、代表取締役に就任。同年7月、Blogツール「Myprofile」(現 DRECOM Blog)を正式リリース。2004年6月、グローバルメディアオンラインの「Yaplog!」にBlogパッケージシステムを納入。同月、ニュースとBlogの検索サービス「News & Blog Search β版」を開始。9月、サイバーエージェントとの共同事業「BlogClick」サービスを開始した。 |
既にネットバブルもはじけていた2001年初頭。経験のない自分たちは、どういう会社としての位置づけを持てば市場に勝っていけるのか--。その点を踏まえてBlog業界に着目し、事業のリソースを集中させてきたというドリコム。セッション3-aでは、代表取締役の内藤氏がドリコムの事業戦略を解説しつつ、国内Blog市場の現状と今後の展望などについて語った。
まずは、「Blogの利点」を簡単に紹介。内藤氏が挙げたのは、文字の装飾や画像の挿入を含めたウェブページ作りの簡単さや、ページ自身の自動アーカイブ機能などをはじめとする「パブリッシング」、トラックバックやコメント、RSSを使った更新機能サービスに見られる「コミュニケーション」、RSS、トラックバック、Pingなどの技術における「共通仕様の普及」--の3点。
特に、Blogサービスの盛り上がりに重要な役割を果たしたのは共通仕様の普及だという。それゆえにBlog周辺サービスの提供につながり、ユーザー間のコミュニケーション活発化やBlogへのトラフィック誘導が促されたと考えられるためだ。
「これまでのインターネットサービスは、同じツールを使っている同士での閉塞的なコミュニケーションがメインだった。しかしBlogは、どのツールを使っていようとも共通仕様によってすべての人とコミュニケーションが図れるし、トラフィックの誘導も容易になった」(内藤氏)
次に、話はBlogのビジネスモデルへと及んだ。BtoCでは、Google AdSenseやBlogClickのような広告、ライブドアやはてな、ニフティなど、ポータルサイトやISPが提供している有料サービス、日産の「TIIDA BLOG」やプロクター・アンド・ギャンブル・ファー・イースト・インク(P&G)の「アリエール I ラブ 困ったさんコンテスト」など、企業がマーケティングツールとしてBlogを利用する--といったケースを紹介。
BtoBのビジネスモデルとして、ドリコム、はてな、Six Apartが行っているシステム提供、ドリコムの「ドリコムオフィス」、日立製作所の「BOXERBLOG」のような社内情報共有型ビジネスBlog、会社のサイト自体をBlogで更新するといった、Blog自体をCMSとしてとらえたサービスの可能性--を掲げた。
中でも、自分が書いたBlogの内容に合わせた広告を表示するコンテンツマッチ広告市場が注目を浴び、結果を出しつつあるという。Googleが発表した2004年第3四半期の決算内容は、Google傘下のウェブサイトによるAdWordsサービスの売上高が総売上の51%(4億1170万ドル)、AdSenseサービスでは同48%(3億8430万ドル)であることを提示しながら、日本ではまだリスティング広告のシェアが大きいものの、世界的な規模で見るとコンテンツマッチ広告の需要が伸びていることに言及。その理由として、売り上げが検索件数の増加に頼るリスティング広告に対し、コンテンツマッチは配信メディアを増やせば売り上げの増加が見込める点を挙げ、コンテンツマッチ広告は今後も順調にシェアを伸ばしていくだろうと結論づけた。
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