注目のネット企業創業者達によるフリートーク

 11月22日、23日に宮崎シーガイアで開催された「New Industry Leaders Summit 2004」初日のキーノートは、IT業界の先端を走る大手ネット企業のカリスマ創始者たちによるフリートークが開催された。ネットエイジグループ 代表取締役社長の西川潔氏をモデレーターに、グローバルメディアオンライン(GMO) 代表取締役会長兼社長の熊谷正寿氏、サイバーエージェント 代表取締役社長の藤田晋氏、そしてライブドア 代表取締役社長兼CEOの堀江貴文氏がスピーカーとして参加。三社三様の戦略や企業構造の未来、コンテンツサービスや海外展開への展望など、内容の濃い90分間となった。

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1991年、ボイスメディア(現:GMO)を設立し、代表取締役就任。1999年、独立系のインターネットベンチャーとして日本初の株式店頭上場。2004年2月、東京証券取引所市場第2部で上場。現在は、22社約1500名の従業員を擁するGMOグループを率いている。
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1997年青山学院大学卒業後にインテリジェンスへ入社、人材コンサルティング業務に携わる。1998年3月、24歳の時にインターネット企業の営業力の弱さに着眼し、インターネット営業代行会社としてサイバーエージェントを設立、代表取締役社長に就任。2000年3月に東京証券取引所新興企業市場(マザーズ)に上場。現在、インターネット広告代理事業、インターネットメディア事業を展開。
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1996年、東京大学在学中にオン・ザ・エッヂを設立。2000年4月、東京証券取引所新興企業市場(マザーズ)に株式を上場し、2004年、同社をライブドアに社名変更。ウェブ・サービス事業、データセンター事業、ネットショップ事業、プロバイダ事業などを展開。
IT産業が日本の企業構造を変える

西川:今年も終わりに近づいていますが、まずはそれぞれの「3大ニュース」を教えてください。

熊谷:まずは、ブログサービスへの取り組み。GMOグループは、ドリコムと組んだ「ヤプログ!」、paperboy&co.の「JUGEM」、ティーカップ・コミュニケーションの「AutoPage」を手がけていますが、予想以上の反響を得ています。新たなうねりの手応えを感じますね。

 2つ目は検索サービス「9199.jp」のスタートで、キーワードサービス「JWord」がベースです。これは「3721.com」という中国のサービスが大元であり、今年1月に米Yahooが中国進出の足がかりとして買収したサービスです。メタ検索と使いやすい電話帳を組み合わせたようなサービスで、キーワードを販売するビジネスモデル。来期の売り上げは60億円が目標です。3つ目は、今年はあと1カ月残っているのでこれからです。

堀江:自分としては、弥生を傘下にしたことの意義が大きい。弥生が占めるソフトウェアパッケージ販売の割合は3割弱といったところで、残りはサポートやサプライ用品の売り上げです。50%以上がストック収入という、非常に安定した会社なんですよね。

 額の大きさでインパクトがあったのは、日本グローバル証券を買収したことです。名前を「ライブドア証券」に変えて、オンライン証券取引、信用取引も開始しました。3つ目は、これから出てくるのを待っています。

藤田:会社としては、上場以来初の黒字化を達成しました(2004年9月期に17億5300万円の経常利益)。決算発表と同時に2005年9月期の見通し(売上高360億円)を発表しましたが保守的なのではないかという指摘を多数受けました。堀江さんが世間をにぎわせているおかげで、業界自体の注目度もあがり業績も非常に期待されているというのを感じます。

西川:インターネットが普及し始めて10年、この業界ができて5、6年経過しました。IT業界は、日本の産業構造を変える大きな流れになるでしょうか。それとも鉄鋼、製造など従来の産業に寄り添う存在に過ぎないのでしょうか。

 みなさんが上場した当時は赤字や損失が取りざたされていましたが、着実に力を付け、かなりの成長率で売り上げを伸ばしていますよね。この状況を見る限りでは、IT業界は真の「New Industry」といってもいいのではないかと私は考えますが、皆さんはいかがですか。

熊谷:明確な定義はさておき、産業には「保守本流」と「隙間」の2種類がありますよね。10年前、鉄道、自動車、鉄鋼などの保守本流には、新たな参入が難しい状況でした。しかしインターネットを使ってみたとき、「これは保守本流になるかな」と。身を投じようと思った判断は間違っていなかったと思いますし、今後はもっと幹が太くなって時代を変える原動力になり得るのではないでしょうか。

堀江:僕はあんまり肩肘張って考えたくないし、考えたこともありません。僕らはゲーム第一世代。ゲームにITが絡んでいましたし、電気通信法が改正されたおかげでパソコン通信ブームに触れ、「ネットワークでつながったパソコンを通じてコミュニケーションがとれる」というコンセプトを享受できました。ただ、当時のパソコンは非常にプリミティブで使いにくく、マニアックな存在だったから一般の人が使うものではなかった。これが使いやすくなったら、コミュニケーションのあり方が変わるだろうと、中学生の時分から考えてはいたんです。だから、僕にとっては今のIT業界の活性化が極々当たり前のことと感じます。

 例えば紙幣や小切手の発明は、これまで金や銀でやり取りしていたモデルを根本的に覆しましたよね。「商売の基本は信用であり、信用とは現物がなくても取引できることなのだ」と。「信用」の対価である「お金」とはバーチャルなモノであるというのがわかったからこそ、ずっと金貨にこだわっていた人たちを経済力で圧倒してきました。それとまったく同じではないでしょうか。情報通信革命で先行できた者は情報を制することができる。情報を制することができれば、商売では確実に優位に立てます。IT産業の波は保守本流の企業にも押し寄せていると思いますよ。

熊谷:今や、インターネットを意識しないところでビジネスを考えなくてはいけないと。

堀江:いや、インターネットを意識する必要もないのかなと。新卒入社の人たちは中学から、20歳くらいの人は小学校からインターネットを使いこなしているのが、今の時代ですからね。

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