2004年11月に宮崎で開催された「New Industry Leaders Summit (NILS)2004」。これを契機に、2005年2月、「New Industry Leaders Association」(NILA)が設立された。これは、新しい産業の創出、ベンチャー企業の発展、起業家のサポートや育成を目指した団体。ベンチャー企業経営者、ベンチャーキャピタリストなどにより組織されている。
この団体が主催するベンチャー経営者、ベンチャーキャピタリストのネットワーキングの場となる「New Industry Leaders Summit 2005 Summer」が、この7月1日・2日に開催される。NILS開催、そしてNILA設立の経緯、背景などを、企画運営を担当するグロービス・キャピタル・パートナーズの小林雅氏に聞いた。
--NILSを開催しようと思われたきかっけをお教え下さい。
企画の発端は昨年8月に実施されたベンチャーキャピタル業界の勉強会でした。この時の懇親会で、勉強会にパネリストとして参加されたケンコーコムの後藤玄利氏や、弊社の仮屋薗聡一などと話をしている中で、「日本でベンチャー企業のためのカンファレンスをやらないか」という話になったのがきっかけです。
以前から、私や仮屋薗は、アメリカの西海岸で行われるカンファレンスを非常の面白いと感じてきました。あちらでは、ベンチャー企業の社長など個人名で活躍されている方々が、ごく普通に一般参加者としてカンファレンスに参加しているんです。例えばジェフ・ベゾス(Amazon.comの創設者、CEO)がごく普通に、質疑応答で質問していたりする。
これまで日本では、大手ITメーカー主催のものはあっても、ベンチャー企業主導のカンファレンスは行われていませんでした。ITベンチャーがここまで発展してきた今、こういったカンファレンスを開催することができないかと私も常々考えていたので、ぜひに、という話になったわけです。
実際に動くとなると、ネットワークを持っている方に絡んでいただくのが一番いいだろうということで、インターネット系に強い人脈をお持ちのネットエイジの西川潔さん、メディア系ではCNET Japan編集長(当時)の山岸広太郎さん、大企業系はIBMベンチャーキャピタルグループの勝也久さんにお声がけさせていただいたところ、非常に好感触で、ご協力いただけることになったのです。
NILSは、質を重視するという点から、紹介制のクローズドスタイルをとりました。第一線の経営者が、同じベンチャー企業の経営者のために話をする、というのが面白いと考えたわけです。
予想通りではあったのですが、このNILSの主旨をお伝えしてさまざまな経営者の方々にスピーカーをお願いしたところ、スケジュールが合わない方以外のすべての方から快諾をいただきました。新しい刺激が欲しい、色々な人に出会いたい、そういう多くの経営者が、こういった集まりを望んでいたわけです。
結果、2004年のNILSは大盛況のうちに幕を閉じ、これは「続けていかねばならない」と考えた結果、NILAという団体の設立と、年2回(7月、11月)のNILSの開催が決まりました。大企業であれば、経団連のような集まりがありますが、ベンチャー企業にはそれがなかった。それゆえ、NILS、NILAの誕生は必然だったのかもしれません。
--アメリカのカンファレンスには、非常に刺激を受けられたようですね。
向こうのベンチャー社会というのは、個人名で仕事をしています。「サン・マイクロシステムズ」ではなく「スコット・マクネリー」、「オラクル」ではなく「ラリー・エリソン」という風にです。一種、ロックスターみたいなものです。しかし極端な話、日本の場合は電機メーカーの社長の名前をフルネームで言えるかというと、結構覚えていないんです。
以前、梅田望夫さんがこういった状況をメジャーリーグに例えて「シリコンバレーリーグ」と言っていましたが、私はそれを読んで、なるほど日本にもやがてはそういう時代が来るのかなと4、5年ほど前から思っていました。現在は、まさに個人の名前で仕事をする、スター性のある経営者が出てきています。堀江(貴文)さんや三木谷(浩史)さんがいい例でしょう。単なる会社の代表ではなく、個性を持った個人が前面に出ている。ですからNILSでも、単に「あの会社の誰か」を招くのではなく、「あの人」という個人に焦点を当て、スピーカーをお願いしたわけです。
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