MNP導入から約1年--あなたは携帯電話会社を移行しましたか?

 携帯電話の番号を変更せず、通信キャリアを変更する「番号ポータビリティ(MNP)」制度が開始されてから、およそ1年が経過しました。この制度は、通信事業者間の健全な競争を促進することを目的にしたものですが、ユーザーのメリットとして「携帯電話の番号を変えずに、携帯電話会社を移行できる」「携帯電話ユーザーの携帯電話会社間の移行が促進され、各社のサービスが向上する」という2点が見込まれていました。

 MNP開始以降、毎月の純増数(新規契約含む)競争では、KDDIが大きくリードし、ソフトバンクモバイルがそれに続いて、契約者数トップのNTTドコモが“一人負け”する状況が続きました。2007年5月には、業界3位のソフトバンクモバイルが、16万2400契約の純増でトップに躍り出て、以降10月まで6カ月連続純増1位となっています。

 MNPは、開始1年でどれほどの影響や変化をユーザーと通信事業者に与えたのでしょうか。そこで今回は、MNPについてアンケート調査しました。まずは、MNPが実際にどれほど利用されているのかを知るために、MNPを利用して携帯電話会社を移行したことがあるかどうかを尋ねました。

●あなたは番号ポータビリティ(MNP)制度を利用して携帯電話会社を移行したことがありますか?(択一)

1 移行したことはない 87.3%
2 1回だけ移行した 5.7%
3 携帯電話を持っていない 5.3%
4 MNP自体を知らない 1.1%
5 2回以上移行した 0.6%

NetMileリサーチに登録した全国1000人の男女(男性516人、女性484人)に11月21日〜22日に調査

 MNPを使って移行したことがあるのは、63人(携帯電話所持者の6.7%)でした。それに対して、大多数の人が「移行したことはない」(携帯電話所持者の92.1%)という回答です。「MNP自体を知らない」(1.1%)という人は少ないことから、「MNPを知っているけど、移行しない」という人が大半を占めているようです。つまり、ユーザーにとってのMNPによる魅力はまだまだ伝わっていないように思えます。

 続いて、「移行したことがある」と回答した63人に、移行先の携帯電話会社について聞きました。契約者数では、最大手のドコモ、2番手のKDDI、3番手のソフトバンクという順位になっていますが、移行先としてはどこに人気があるのでしょうか。

●移行したことがあると答えた方に質問です。あなたはどの携帯電話会社へ移行しましたか?(複数回答可)

1 NTTドコモからau(KDDI)へ 25.4%
2 NTTドコモからソフトバンクモバイルへ 19.0%
3 ソフトバンクモバイルからNTTドコモへ 17.5%
4 ツーカーからau(KDDI)へ 15.9%
5 ソフトバンクモバイルからau(KDDI)へ 14.3%
6 au(KDDI)からソフトバンクモバイルへ 11.1%
7 au(KDDI)からNTTドコモへ 7.9%
8 ツーカーからソフトバンクモバイルへ 3.2%
9 ツーカーからNTTドコモへ 1.6%

 結果から、MNPの移行先としては、KDDI、ソフトバンク、ドコモの順に人気があることがわかります。また、ユーザーの流出は、ドコモが特に目立ちます。1位「NTTドコモから『au(KDDI)』へ」(25.4%)、2位「NTTドコモから『ソフトバンクモバイル』へ」(19.0%)ともに、ドコモからの流出です。最大手だけに流出も多いようです。続いて、ソフトバンクからの流出が多く、KDDIは最も流出が少ないようです。 では、MNPで移行する際の決め手は何なのでしょうか。次は、「移行したことがある」と回答した63人に、移行の理由を尋ねました。

●移行したことがあると答えた方に質問です。あなたがMNPを利用して携帯電話会社を移行した理由はなんですか?(複数回答可)

1 料金プランが魅力的だったから 39.7%
2 家族や友達が利用しているから 36.5%
3 割引プランが魅力的だったから 19.0%
4 携帯端末のデザインが魅力的だったから 17.5%
5 携帯端末の機能が魅力的だったから 14.3%
6 その他 12.7%
7 通話可能エリアが広かったから 11.1%
8 移行先特有のサービスが魅力的だったから 9.5%
9 以前の電話会社の料金が不満だったから 9.5%
10 以前の電話会社に飽きたから 7.9%

 1位の「料金プランが魅力的だったから」(39.7%)、3位の「割引プランが魅力的だったから」(19.0%)といった、コスト面の理由が上位に来ました。また、2位の「家族や友達が利用しているから」(36.5%)という理由を挙げた人も多数います。

 ドコモの「ファミ割」やau(KDDI)の「家族割」、ソフトバンクの「ホワイト家族24」プランなど、各社こぞって「家族向け(または友達向け)の割引プラン」に注力するのは、こうした需要に応えていると言えるでしょう。ほかには、デザイン性や機能などが移行の理由になっているようです。

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