簡単な計算や漢字の書き取り、音読などで脳を活性化する、いわゆる「脳トレーニング(脳トレ)」が人気を博しています。能力ならぬ“脳力”を高められるとうたった商品も、書籍やゲームソフト、パソコンソフトに電卓、電子辞書などなど、まさに花盛りです。
そこで今回はみなさんの“脳トレ事情”について調査しました。まず脳トレの経験の有無と、どんな商品で脳トレをしたことがあるか尋ねたところ、上位10項目は次のような結果となりました。
●どんな商品で「脳トレーニング」をしたことがありますか?
1 | まったく脳トレーニングをしたことがない | 56.3% |
2 | ニンテンドーDS「脳を鍛える大人のDSトレーニング」シリーズ(任天堂) | 26.5% |
3 | 書籍(計算ドリル、漢字ドリルなど) | 11.3% |
4 | ニンテンドーDS「やわらかあたま塾」(任天堂) | 7.0% |
5 | ニンテンドーDS「右脳の達人」シリーズ(バンダイナムコゲームス) | 3.2% |
6 | PSP「脳力トレーナー ポータブル」シリーズ(セガトイズ) | 2.6% |
7 | トレーニング機能付きの電卓、電子辞書など | 2.4% |
8 | ニンテンドーDS「七田式トレーニング 右脳鍛錬ウノタンDS」シリーズ(インターチャネル) | 1.1% |
8 | PCソフト「脳力トレーナー」(インターチャネル) | 1.1% |
8 | 専用機器(トレーニング機能のみ備えた機器) | 1.1% |
昨今の脳トレブームは、東北大学未来科学技術共同研究センターの川島隆太教授を抜きにして語れません。川島教授は人間の脳の仕組みや働きを調べる「ブレインイメージング研究」の第一人者。複雑な問題を考えるより、単純な計算や音読をしているときのほうが、むしろ脳は活性化することを突き止めました。
脳トレ関連製品は、こうした研究成果のひとつである「学習療法」を、一般向けに親しみやすくしたものです。調査結果は、その川島教授が監修した商品を通じて、脳トレに接したことのある人が多いことを示すものとなりました。
何らかの商品で脳トレを経験したという人は全体の43.7%に上ります。そのなかで一番多かったのは、ニンテンドーDS用ソフトの「脳を鍛える大人のDSトレーニング」シリーズでした(26.5%)。2005年5月発売の第1弾、12月発売の第2弾ともに200万本以上も売り上げたとあって、この結果は当然といえるでしょう。
このソフトは文字と音声の認識技術を取り入れ、問題に手書き文字や声で答える新しさを備えているのも大きな特徴です。「脳年齢」が測れるというCMも話題を呼び、普段ゲームをしない人の興味を引いたのが大ヒットの要因の1つといえるでしょう。その人気はニンテンドーDS本体に飛び火し、今年の初頭には品切れする店が続出。「ニンテンドーDS Lite」の発売日には、未明から販売店を取り囲む行列ができたのも記憶に新しいところです。
「書籍」を挙げた人も11.3%を占めました。いま書店の棚は“大人のドリル”で溢れ返っていますが、その元祖は川島教授監修の「脳を鍛える大人のドリル」シリーズ(くもん出版)です。2003年11月に発行された「計算ドリル」と「音読ドリル」は、2004年の年間売上8位(トーハン調べ)に入るベストセラーになり、“第1次脳トレブーム”を起こしました。回答者のなかには、この時期に脳トレに接した人も多いのかもしれません。
その脳トレを初めてゲーム化した製品は、セガトイズが2004年に専用機(知育玩具)として発売した「脳力トレーナー」です。6位と8位に入ったのは、そのPSP用、パソコン用のソフトです。パソコン用の脳トレソフトも、さまざまな製品が発売されていますが、今回の調査では脳力トレーナーのみベスト10に入りました。
ちなみに脳トレ経験がない人には、その一番の理由を尋ねました。最も多かったのは「ゲーム機やソフトを入手できいでいるから」(37.5%)で、「まったく興味がない」(25.6%)、「脳トレ自体を知らなかった」(4.8%)などの消極的な回答を上回りました。潜在需要が多いところを見ると、脳トレとDSの人気は今後も続きそうです。
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