通信ネットワーク構築大手、ネットワンシステムズの株価が4月下旬以降順調な上昇をみせている。
前期の2009年3月期は、NGN(次世代ネットワーク)システム構築関連の受注拡大で好調な業績推移を確保したのに続き、今期以降はクラウドコンピューティング(従来はパッケージで購入したワードなどのアプリケーションソフトを自分のパソコンにインストールしていたものを、すべてインターネットに接続することで利用できる仕組み)関連でのシステム構築の新たな需要が期待される。
5月11日に発表された2009年3月期の連結決算は、売上高1311億円(前々期比17.4%増)、営業利益88億8100万円(同86.1%増)、経常利益90億3600万円(同84.9%増)、48億9700万円(同97.1%増)と大幅な増益を達成した。NTTグループなど通信事業者向けのNGN関連の機器販売が好調に推移したのに加え、中央官庁や地方自治体からの受注も大幅な伸びをみせた。
マーケット別の売上内訳では、昨年秋以降の金融情勢の急速な悪化を反映してEP系(一般企業)向けが380億9300万円(前々期比8.9%減)と減少した半面、SP系(インターネットサービスプロバイダー)が621億円(同33.4%増)や、公共系は308億4900万円(同32.4%増)と大幅な伸びをみせた。
同社は今期の2010年3月期の連結業績について、売上高については1390億円(前期比6.0%増)と増収を予想しているものの、営業利益81億円(同8.8%減)、経常利益82億円(同9.3%減)、純利益47億円(同4.0%減)と利益面では小幅減益を見込んでいる。
今期民間企業向けでは、データセンターや運用管理監視などのサービス事業の強化により受注増加を目指す。通信業者・インターネットサービスプロバイダー向けでは、引き続き通信事業者の設備投資向けの拡大を狙う。公共向けでは効率的な受注活動を徹底する。
さらに今後は、従来のNGN関連に次ぐ成長分野として、クラウドコンピューティング関連の基盤構築需要の拡大が中期的に見込めそうだ。2009〜2012年にかけて普及の本格化が見込めるクラウドコンピューティングのシステム基盤の構築需要の拡大と、モバイルの次世代ネットワークへのバージョンアップに関連した投資拡大が今後の同社の業績拡大の原動力となりそうだ。
今期については、前期に大幅な増益となったことへの配慮もあり、小幅ながら減益を想定しているものの、実際には増収増益となる可能性も十分ありそうだ。
同社の株価は、4月28日に12万1600円の安値を付けて以降、ほぼ25日移動平均線を割り込むことなく一貫して上昇を続けている。先週末の6月26日には終値で、17万1300万円を付けている。ほぼ2カ月間で40%の上昇をみせた。しかし、連結PERは20倍と割高感はほとんどない。今後は、2010年3月期の第1四半期、あるいは第2四半期の決算発表に伴う通期業績の上方修正期待から、株価もジリ高歩調を辿り、中期的には20万円台乗せも十分期待できそうだ。
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