ソニーは5月14日に、2010年3月期の連結業績予想(米国会計基準)を発表。今3月期の営業損益について1100億円の赤字と2期連続の赤字見通しになることを明らかにしたものの、翌日5月15日の株価は前日比170円高の2570円と大幅高で高値引けとなった。2期連続の赤字にも関わらず、株価が急騰をみせた背景に何があるのか。今後の業績動向と株価推移を探った。
ソニーは5月14日、前期の2009年3月期の連結決算を発表した。売上高7兆7299億円(前々期比12.9%減)、営業損益2277億円の赤字(前々期は4752億円の黒字)、最終損益989億円の赤字(同3694億円の黒字)となった。
主力のエレクトロニクス分野で、景気後退による事業環境の悪化や価格競争の激化、円高進行などにより売上高が17%の売上減となったのをはじめ、ゲーム機分野で「プレイステーション2」の販売数量がダウンしたことや、映画分野でDVDソフトの発売本数が減少したことなどが響いた。特に、エレクトロニクス事業の営業損益が1680億円の赤字と、前々期に比べて約6000億円悪化したことが足を引っ張った。主な減益要因の内訳は、円高による為替要因が約2500億円、製品の販売数量減少と価格下落で約1900億円となった。
今期の2010年3月期の連結業績については、売上高7兆3000億円(前期比5.6%減)、営業損益は1100億円の赤字、最終損益は1200億円の赤字を予想している。営業赤字は前期の2277億円からは半減するものの赤字が継続する。
主な商品の今期売り上げについて同社は、デジタルムービーのハンディカムが前年実績620万台から530万台へ、デジタルカメラのサイバーショットが同2200万台から2000万台へ、液晶テレビのブラビアが同1520万台から1500万台へとそれぞれ減少すると見込んでいる。また、ゲーム機に関しては、「プレイステーション・ポータブル」(PSP)が同1411万台から1500万台へ、PS3が同1006万台から1300万台へ増加するとそれぞれ予想している。
今期の戦略について大根田伸行CFO(最高財務責任者)は「値下げによって台数を追うことはしない」として、液晶テレビについて大型画面の高付加価値製品に注力する方針を明らかにしている。また、ゲーム機については「(ハードの生産)コストは順調に下がっている」(大根田CFO)としており、今期ゲーム機単独では営業黒字化を見込んでいる。
ソニーの株価は、今年2009年2月24日に1491円で年初来安値をつけて以降上昇を続け、5月7日には2760円の高値をつけている。その後、小幅調整したものの、先週末の5月15日には、前日比170円高の2570円高値引けと大幅反発をみせた。わずか2カ月半のあいだに株価がほぼ2倍の急騰をみせていただけに、目先的には波乱相場も予想される。株価水準は5月15日現在で、PBR(株価純資産倍率)0.87倍と1倍を下回る割安水準にあり、直近5月8日申込現在の東証信用倍率は0.29倍の大幅な売り長となっていることもあり、中期的には3000円台回復も期待できそうだ。
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