ドワンゴ、1Q決算で営業利益が通期予想超え--ニコ動の成長に期待

 携帯電話向けコンテンツ配信大手であるドワンゴの2009年9月期第1四半期(2008年10〜12月)の連結営業利益は、4億9600万円(前年同期は1億6300万円の赤字)と好調な滑り出しをみせ、早くも期初に予想した通期営業利益の4億2000万円(前期比3.65倍)を突破した。予想をはるかに上回る好業績の背景と今後の株価動向を探った。

 部門別では、ニコニコ動画事業が主体のポータル事業の第1四半期業績は、売上高は6億3600万円(前年同期比77.9%増)となった。しかし、営業損失は前年同期に比べ2億2800万円増え、4億7500万円の赤字となった。ただ、期初に会社側が見込んでいた第1四半期の営業損益は6億円の赤字だったことから、予想に比べ赤字が小幅にとどまったことになる。

 今回、会社側が通期の営業利益を上方修正しなかったのは、モバイルを中心にコストが2〜3億円後ろ倒しになっていることに加え、景況感の悪化からゲーム事業の先行きを慎重にみているためだ。登録会員数は2008年12月末時点で1072万人、うち有料会員数は24万9000人となった。

 2008年12月に「ニコニコ動画(ββ)」にバージョンアップを加え、さらなるサービスに努めた。また、性別や年齢に拘らない様々なユーザーの趣味・趣向に対応するコンテンツの充実を目的に「ニコニコチャンネル」の開設を積極的に行っており、2008年12月末現在93チャンネルを開設している。

 一方、収益面においては、「ニコニコプレミアム会員」からの有料サービス収入、メディアとしての認知度向上やユーザー間におけるコミュニティ形成などを通じた広告収入や、eコマース収入に加え、2008年10月からより新しい収益手段として、ポイントシステムを利用したサービスもスタートしている。

 有料会員数は2008年に入って20万人前後で推移していたが、第1四半期で大きな伸びをみせた。ニコニコ動画の広告売上高は第1四半期で2億5000万円を超え、広告主数、出稿数ともに伸びをみせた。広告主の業種で見ると、PC関連に加えて化粧品関連やファッション関連が増えている。

 モバイル事業では、主力サイトの「着うた@」、「着うたフル@サイト」において、積極的な人気楽曲の権利獲得やタイアップ企画などの施策により、会員数は堅調な推移をみせており、第1四半期末の有料ユニークユーザーは数383万4000人(前年同期比14万3000人増)、ARPU(加入者1人当たりの月間売上高)は、380円(同3円増)となった。モバイル事業の売上高42億8400万円(前年同期比6.0%増)、営業利益は11億5500万円(同55.9%増)となった。

 ゲーム事業では、2008年10月に発売した人気シリーズの「侍道3」、「喧嘩番長3」などが売上高増加に貢献し、この部門の売上高は17億2100万円(前年同期比57.4%増)、営業利益は5億2000万円(前年同期は3900万円の赤字)となった。

 ニコニコ動画は、現在のところ他のサイトに比べてユーザーの獲得スピードが早いことに加え、1ユーザー当たりの滞在時間が極めて長いことから、ユーザー数の伸びとユーザー当たりの収益の成長が期待されており、これに伴う潜在的なメディア媒体価値を評価する市場環境が続けば、広告の増加にもつながり収益の向上に加速がつきそうだ。

 同社の株価は、第1四半期決算発表翌日の2月6日に、17万6000円の高値を付けて以降、全般相場の下落傾向への連動もあり、2月24日には11万9400円まで下落したものの、先週後半からは反騰に転じている。しばらくは、中段持合いの相場が続く可能性が高いものの、中期的には18万円台への回復が期待できそうだ。

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