ソフトバンクは2月5日、2009年3月期の第3四半期(2008年4〜12月)累計の連結決算を発表した。それによると、連結営業利益は2746億円(前年同期比5.6%増)となった。2009年3月期通期予想の3400億円に対する進捗率は81%に達している。主力大手企業が軒並み大幅赤字に転落する厳しい経済活動の中で、その“強さ”に対して市場関係者の間で評価が高まっている。今後の業績と株価を探った。
2009年3月期の第3四半期の連結業績は、売上高が1兆9822億円(前年同期比3.7%減)、経常利益は1744億円(同24.8%減)、純利益は581億円(同37.6%減となった。
売上高が減少したのは、ソフトバンクモバイルでの携帯電話販売台数が減少したため。一方、営業利益が増加したのは、ヤフーが手掛けるインターネット事業が増益となったのに加え、ソフトバンクテレコムおよびソフトバンクBBの減価償却費負担の減少などコスト削減が寄与した。経常利益、純利益に減少は、2008年3月期に中国のAlibaba.comの上場に伴う持分法投資利益572億円を計上したことの反動が出たため。
移動体通信ARPUは4090円(音声2300円、データ1790円)で、前年同期比では音声が24.3%の下落したものの、データは20.1%増、総合で9.5%減となったが、加入者の増加がそれを補って、移動体通信における通信料売上高が第3四半期累計で7786億円と前年同期の7665億円から増益に転じた。今後は、音声ARPUでの割引の影響が軽減される上に、データARPUの上昇が続くことが見込めるため、一段の採算の改善が予想される。
さらに、今回の決算発表で特徴的だったのは、来期に当たる2010年3月期の連結業績見通しを明らかにした点だ。営業利益が今期予想比23.5%増の4200億円になると見込んでいる。フリーキャッシュフローは、営業利益の増加に伴い、同66.7%増の2500億円になると予想している。携帯電話事業の通信収入増加とコスト削減によるものとしている。
また、電気通信事業者協会(TCA)が2月6日発表したところによると、1月末時点での携帯電話の契約数で、ソフトバンクモバイルが21カ月連続で純増数1位を確保した。ソフトバンクモバイルは純増数12万400件の2012万200件、ダブルナンバーは1700件純増の1万400件となった。
ソフトバンクの株価は、昨年2008年10月28日に636円の昨年来安値をつけた後、同11月21日には2番底の1026円をつけ、今年1月21日には3番底に相当する1251円をつけ、先週末の2月6日には1479円と1500円近くまで上昇をみせている。さらに、1月30日申込現在の東証信用倍率は、売り残高の増加と買い残高の減少により、1.03倍と一気に拮抗して、取組妙味が増してきている。全般相場が低迷状態にある中にあっても、中期的には株価2000円台の回復も十分期待できそうだ。
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