東京株式相場は、今週(12月7〜13日)中にも最終局面を迎えそうなゼネラル・モーターズ(GM)など米自動車大手3社(ビッグスリー)への救済問題や、一時1ドル=91円台へ進行してきた円高への警戒感などから、日経平均株価は8000円台を割り込んだ水準での低迷推移が予想される。こうした全般低迷相場の中にあって、好調な業績を背景に年初来高値を更新しているのが、価格比較サイトを運営するカカクコムだ。今後の業績推移と株価動向を探った。
同社は消費者にインターネット上で、商品やサービスの価格比較を行ってもらい、購買を支援するサイト「価格.com」を運営している。国内大手の価格比較サイトであり、同社グループ全体の閲覧数の80%程度をこの「価格.com」が占める。このほか、旅行関連のクチコミサイトである「フォートラベル」、グルメ(飲食店紹介)情報のクチコミサイト「食べログ.com」などのサイトも運営している。
価格比較する商品をインターネットで閲覧することで得られる収入(集客サポート)、商品、サービスの購入・利用によって得られる収入(販売サポート)、同社の運営サイト上に設置してある広告を個人が閲覧することで得られる広告料などが主な収入源となっている。
2009年3月期第2四半期(2008年4〜9月)の連結決算は、売上高43億5500万円(前年同期比42%増)、営業利益16億5000万円(同2.9倍)と大幅な増収増益。2009年3月期通期の業績予想は、売上高93億5000万円(前期比34%増)、営業利益33億5000万円(同75%増)を見込む。
最近注目なのは、今まで価格比較サイトをあまり使用していなかった50歳代以上の年代層のサイト利用が増加している点。40歳代以上の年齢構成比率が4年前に比べて10%増えている。その増加分の大半は50歳代以上の新規参入によるもの。
増加の背景にあるのが、単なる「情報提供サイト」から「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)」メディアへと変貌してきている点がある。SNSは、「社会的ネットワークをインターネット上で構築する」ということで、友人・知人間のコミュニケーションを促進する手段や場、あるいは趣味や嗜好、居住地域などといった他人との繋がりを通じて、新たな人間関係を構築する場を提供している。
今後数年間、800万人以上ともいわれる団塊の世代が相次いでリタイアする中で、企業(職場)社会を離れて新たなコミュニティに拠り所を求める可能性が高まっており、SNSに新たに参加するの中・高年層の拡大が同社の収益向上の追い風となりそうだ
さらに、不景気さえも追い風になる可能性を秘めていることが、大きな支援材料となりそうだ。今後不況がさらに深刻になるにつれ、消費者の間では本当に必要なものを厳選して「より安く買いたい」という意識が一段と強まることが予想され、価格比較のニーズが高まる可能性が十分にあるためだ。
同社の株価は、リーマン・ショックに端を発する世界的な金融危機による全体相場の急落に伴って、10月10日には一時、23万1000円まで売り込まれる場面があった。しかし、その後は好調な業績推移を背景に、全般相場がもたつく中にあっても、株価は順調に回復し、年初来高値圏での堅調な推移をみせる異彩ぶりとなっている。今後の株価は、中期的には50万円台乗せも期待できる動きとなりそうだ。
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