ヤフー、広告業苦戦の中で比較優位として評価の声

 ヤフーの株価に上昇期待が高まっている。金融危機に伴う世界的な景気悪化懸念から、広告業界全般には大きなマイナス影響が予想されている。現在のところテレビ、新聞、雑誌、折り込みチラシなど媒体への広告出稿に減速傾向が顕著にみられるものの、商品やサービスを訴求するターゲットが絞り込みやすいインターネット広告が比較優位に立つとの見方が浮上している。同社の今後の業績と株価の動向を探った。

 ヤフーの2009年3月期の第2四半期累計(4〜9月)の連結決算は、売上高1316億円(前年同期比12%増)、営業利益659億円(同10.2%増)、経常利益650億円(同12.5%増)、純利益368億円(同26.0%増)となった。

 同社は、第2四半期累計の決算短信の中で、広告業界の現状について、次のように分析している。「当四半期(7〜9月)においては、景気全般が急速な後退局面へと転じ、企業業績の悪化が懸念されるなか、電通の9月のテレビ広告の売上が大きく前年割れするなど、テレビや新聞等の4マス広告媒体の苦戦がさらに深刻な状況となりました。一方で電通の9月のインタラクティブメディア広告の売上は対前年比で増加を続けるなど、インターネット広告媒体は善戦しているものと思われます」としている。

 ヤフーの部門別の動向を見ると、広告事業では、利用者の行動履歴を基に配信を行う行動ターゲッティング広告や、利用者の属性情報を基にした配信を行うデモグラフィックターゲティング広告は、前年同四半期比で大幅に売上を伸ばした。とくに、デモグラフィックターゲティング広告については、化粧品・トイレタリーや美容関連、食品関連など、主に女性をターゲットとした企業へ浸透しており、出稿が大きな伸びを示した。

 検索連動型広告の売上は、検索機能の改善を図りつつ広告掲載による効果を高めたことや、オープン化の一環であるグループ以外の媒体の獲得をさらに推進したことにより順調に推移した。

 ビジネスサービス事業の四半期(7〜9月)は、「Yahoo!ショッピング」、「Yahoo!オークション」で、引き続き新規ストアの獲得に努めた結果、2008年9月末現在の「Yahoo!ショッピング」、「Yahoo!オークション」の合計ストア数は3万2652店舗と前年同期末と比べて3216店舗(10.9%増)増加し、テナント料および手数料収入も順調に推移した。

 同社は2009年3月期の第3四半期(4〜12月)の連結の業績の予想について、売上高1979〜2008億円、営業利益983〜1005億円、経常利益972〜994億円、純利益556〜569億円を見込んでいる。

 同社の株価は、世界的な金融危機による全般株価の下落に連動して一時大幅安となった後、10月10日の2万5600円で一番底、10月24日に2万6530円で2番底、11月26日に2万8850円で3番底と上下動を繰り返しながらも着実に下値を切り上げている。現在の株価はようやく3万1000円(11月28日終値)と3万円台に乗せてきた。今後は中長期的には4万円台乗せを目指すことも十分期待できそうだ。

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