価格比較サイト運営大手のカカクコムの業績が好調な推移をみせている。国内景気全般が減速感を増す中、多くのネット関連企業の業績にも陰りが見えはじめているが、カカクコムの業績は予想を上回る拡大ぶりをみせている。今後の同社の業績と株価の動向を探った。
カカクコムが8月7日に発表した2009年3月期第1四半期(08年4〜6月)の連結決算は、売上高21億7700万円(前年同期比47%増)、営業利益8億2800万円(同3.4倍増)、経常利益8億3500万円(同3.4倍増)、純利益4億7800万円(同3.7倍増)と大幅な増収増益となった。
大幅な増収増益となったのは、比較サイト「価格.com」の掲載内容の充実で利用者が順調に増大し、広告収入や掲載店舗への誘導に伴う手数料収入などが増加したことが寄与した。特に、比較サイトに登録する店舗に訪問者を誘導することで成功報酬を得る「クリック課金」の料金体系を変更し、サイト訪問者が各店舗のサイトを訪れるごとにカカクコムが報酬の単価を引き上げたことも利益の大幅な向上につながった。
具体的には、購買支援サイト「価格.com」に加え、レストランのクチコミサイト「食べログ.com」、旅行情報のクチコミサイト「フォートラベル」など、複数のグループサイトが月間利用者数およびページビュー数を大幅に伸ばす結果につながった。
6月度の同社グループ運営の各サイトの利用状況は、「価格.com」が月間利用者数約1333万人、月間総ページビュー数5億771万、「フォートラベル」が月間利用者数約255万人、月間総ページビュー数約2764万、「食べログ.com」が月間利用者数約576万人、月間総ページビュー数約7106万となり、グループ全体での月間利用者数は約2316万人、月間総ページビュー数約6億1982万となった。
こうした利用者数増加による媒体価値の向上に伴い、パソコンメーカーや家電メーカーを中心としたクライアントからの広告出稿や、リスティング広告などが堅調に推移し、この部門の売上高は、前年同期比86%増の5億5200万円と大幅に拡大した。
同社は7月23日、「食べログ.com」で、サイトのユーザーにレストラン情報の編集機能を開放するとともに、サイトデザインをリニューアルしたと発表した。今回開放されたレストラン情報の編集機能により、ユーザーは、営業時間や定休日など、レストランの詳細情報を直接編集することが可能となる。また、カード使用の有無や座席数などの項目を新たに追加し、レストラン選びの情報を拡充した。
同社の株価は2008年3月以降、ほぼ25万円から33万円のボックス相場での推移となっている。しかし、今回発表された第1四半期の業績が予想以上に好調で、連結営業利益では9月中間期営業利益予想12億円に対する進ちょく率が69%と非常に高い水準に達するなど、今後業績が上方修正に進む可能性が濃厚となっている。これに伴い株価も中長期では再び40万円台に乗せる期待感が高まりそうだ。
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